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□06.オーシャンウェーブ
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沖田side



僕には前世の記憶がある。気付いたのは小学生の時。


学校の桜が風で舞い、花吹雪のように散っていくのを見て涙が零れ落ちた…



僕は、新選組一番組組長…


沖田総司…



こんな桜吹雪の中、君と桜を眺めた…



身寄りのない君が、住み込みの女中として新選組にきたのは、壬生浪士組から新選組になってすぐの頃。



千鶴ちゃんが新選組に身をおくようになったのは、それから二月程してから…



君は大人しくて、料理上手。身寄りがないからかどこか寂しげ…小さい頃に試衛館に預けられた僕みたいだった。



いつもみたいに意地悪に話かけても君には空振り。千鶴ちゃんみたいな反応はしない。でも逆にそんな君が気になった。



君が新選組に来てから半年…初めての春。君を花見に誘った。断られるかと思ったけど素直に“はい”って言ってくれた。



鴨川に行くと桜は満開だった。風が強くて花弁が雪のようにはらはらと舞い落ちた…



その中にいる君は、何処にも居場所がないような儚い表情…



目の前をすり抜ける花弁は、失った家族との思い出のよう…



『綺麗ですね…沖田さん…』



そういう君の横顔は、桜よりも僕の心に焼きついた…僕が君の居場所を作ってあげたいと思った。



僕の中の病魔に気付いのは、幹部より君が先。二回目の吐血を君に見られた。



「覗いてたの?趣味悪いね…」



そんな事いうつもりなかった。だけど僕は、焦ってたんだ…血を吐く病気なんて…【労咳】しかないから…


『…すいません』



君は悪くないのに、小さな声で謝った。君は幹部とは挨拶くらいしかしない。病気の事は誰にも言わない…そんな確信があった。



僕はどんどん吐血するようになったけど、君は血のついた懐紙を黙って捨ててくれた。食欲のない時は、こっそりお粥をつくってきてくれた。



僕を気遣ってくれる君。一人占めしてるみたいで、君に夢中な僕は幸せだった…



でも、気づけば君の隣には一君。どんどん、細くなっていく僕の腕。刀すら握れない…



近藤さんの役にも立てない…



一君の隣にいる君…



悔しかった…



だけど僕は労咳だから、傍にいたら君を害してしまう…



全てが上手くいかない。



神様なんて信じてなかったけど、信じてないものすら恨めしかった。



千鶴ちゃんが世話をやきにきてくれたけど、僕が望んでるのは千鶴ちゃんじゃない。



冷たくする気はないけど、僕が求めるのは君なんだ…


最終的に僕は、新選組を離れ千駄ヶ谷で療養生活。というか、療養という名の死を待つだけの暮らし。



だんだんと弱っていく体…もうダメだ…そう感じた時に、願った。








いつか…





健康な体で…






君に会いたい…


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