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□05.スパイラル・モビール
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放課後時間をつぶして、風紀委員の部屋に向かった。



お昼をそこで食べたから、知らない場所に行く不安はなかった。




でも人気がない廊下は、夕日が差し込み、昼間とは全然違って見えた。




千鶴と仲直りしたい…私の頭はその事で一杯で、その方法を知っているという沖田先輩。




昨日女子に怒っていた時は恐かった。でも今日のお昼は、すんなりと離してくれた…




どちらの沖田先輩が本当なのかわからないけど、私にはそんな事を考える余裕はなかった。




部屋に着くと、沖田先輩が椅子に座ってた。そこは、お昼に斎藤先輩が座ってたところ…




「遅いよ?僕まっちゃったじゃない…」



『…すいません』



約束の時間にはなっていなかったけど、とりあえず謝った。すると沖田先輩は立ちあがって、私の方に来た。



「ちょっと、こっちに来て」



そう言われ、腕を引かれた。その強さにふらつくと、掴まれたうでを軸に体が回転した。



私のお尻がテーブルにぶつかり動きが止まると、沖田先輩が私の肩を押さえつけた。


私の体はなんなく倒れ、背中にはテーブルの硬い感触。視界には天井が見えていた。



驚いて、上体を起こそうとしたけど、あっという間に両手を頭の上で押さえられた。



私の視界には、いつの間にか沖田先輩の顔…






えっ…





何で…





私、押し倒されてる?





からかってるの…?





沖田先輩の顔はいたって真剣で、これが冗談とは思えなかった。




これからどうするかなんて、経験がなくてもわかる…




それに気付くと、声をあげるより恐さに目をぎゅっと瞑った。




ゆっくりと私の体に覆いかぶさる感覚がすると、沖田先輩の髪が、私の頬に触れた。




“嫌っ…初めてなのに…”



キスされたくなくて顔をそむけると、耳元で沖田先輩が囁いた。



「僕は、君のことが好きだよ」



意味がわからなかった。昨日初めて会って“彼女にならない?”今日は“好き”とか…




好きなら、私の気持ちを無視してこんな事しない…




私が顔を背けていると、左の耳朶を甘噛みされた。その感触にビクリと体が震えた…



その反応を楽しむように、沖田先輩は私の首筋にキスしてきた。



『…やっ…』



腕に力をいれるけど、びくともしない。片手で、私の両手を押さえる沖田先輩。



体をよじらせるけど、逃げられるわけなくて…




焦る私は、信じられない感覚に嫌な汗がでた…












胸元で何か動いてた…


ボタン外されてる…


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