拍手小説

□03.ニュートンのゆりかご
1ページ/3ページ



「なんで、昨日来なかったの?」


朝から問い詰められた私。


『千鶴に言われたから行ったよ。でも女子が多くて入れなかったんだもん…』



“私と一緒に行けば大丈夫”そういう千鶴に聞いてみた。



『千鶴が好きなのって、斎藤先輩?』



「えっ?違うよ!私が…」



そこまで言うと、名前を言う事に気付いた千鶴。



「まだ、内緒。その人ともうちょっと仲良くなったら、教えるね」



『うん、わかった』


千鶴の顔が、ちょっと暗くて私はそれ以上きけなかったんだ。





=放課後=




千鶴と一緒に剣道場に行った。すんなり中に入れたけど…



女子の視線の厳しさ。千鶴は気にならないのかな…



そんな事を考えていると、練習が始まっていた。



気づくとみんな防具をつけていて、誰が誰だかわからない。



千鶴の好きな人…だれなんだろう。千鶴の視線を追っても…無理。諦めた…。



休憩になり、みんな防具を外しだした。すると、外の女子が名前を呼んだり、騒ぎ始めた。



「うるさいなあ。練習のじゃまだから、みんな帰りなよ。僕、機嫌悪いんだけど…」



窓の所に立ち、不機嫌そうな声…



後姿しかみてない私でも、恐くなる位の声だった。身長も高くて、茶髪。



きっとこの人もかっこいいんだろうけど…



「帰らないと…どうなっても知らないよ」



その声が響くと、外にいた女子はいなくなった。恐いな…誰…?



後姿を見ているのも恐くて、その人に背を向けるように、千鶴に問いかけた。



『あの人、誰?恐いんだけど…』



「沖田先輩?恐くないよ」



…そうかな。千鶴はかわいいがられるタイプだからだと思うけど…




『えっ……』




いきなりの感触に、言葉を失った…




何これ…胸触られてる…?



違う!!







後ろから抱きしめられてる!


次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ