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□03.ニュートンのゆりかご
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「なんで、昨日来なかったの?」
朝から問い詰められた私。
『千鶴に言われたから行ったよ。でも女子が多くて入れなかったんだもん…』
“私と一緒に行けば大丈夫”そういう千鶴に聞いてみた。
『千鶴が好きなのって、斎藤先輩?』
「えっ?違うよ!私が…」
そこまで言うと、名前を言う事に気付いた千鶴。
「まだ、内緒。その人ともうちょっと仲良くなったら、教えるね」
『うん、わかった』
千鶴の顔が、ちょっと暗くて私はそれ以上きけなかったんだ。
=放課後=
千鶴と一緒に剣道場に行った。すんなり中に入れたけど…
女子の視線の厳しさ。千鶴は気にならないのかな…
そんな事を考えていると、練習が始まっていた。
気づくとみんな防具をつけていて、誰が誰だかわからない。
千鶴の好きな人…だれなんだろう。千鶴の視線を追っても…無理。諦めた…。
休憩になり、みんな防具を外しだした。すると、外の女子が名前を呼んだり、騒ぎ始めた。
「うるさいなあ。練習のじゃまだから、みんな帰りなよ。僕、機嫌悪いんだけど…」
窓の所に立ち、不機嫌そうな声…
後姿しかみてない私でも、恐くなる位の声だった。身長も高くて、茶髪。
きっとこの人もかっこいいんだろうけど…
「帰らないと…どうなっても知らないよ」
その声が響くと、外にいた女子はいなくなった。恐いな…誰…?
後姿を見ているのも恐くて、その人に背を向けるように、千鶴に問いかけた。
『あの人、誰?恐いんだけど…』
「沖田先輩?恐くないよ」
…そうかな。千鶴はかわいいがられるタイプだからだと思うけど…
『えっ……』
いきなりの感触に、言葉を失った…
何これ…胸触られてる…?
違う!!
後ろから抱きしめられてる!