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□02.テーブルモビール
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「剣道部、見に来てよ!」



マネージャーになった千鶴は楽しそうに私を誘う。



私、剣道の事なんてわかんないんだけど…返事に困った。



「かっこいい人がいるんだ!」



そういう千鶴の瞳は、きらきらして…好きな人でもいるみたいだった。



すぐに千鶴には彼氏ができちゃう。かわいいし、明るいし…



そうなったら、私は一人なんだろうな…




=放課後=




「先にいってるから、剣道場来てね」



千鶴の後姿は、うきうきしていて確実に好きな人がいる雰囲気。



剣道には興味がないけど、千鶴が好きな人を見たい。


そんな不純な動機で、剣道場に向かった。



そこには、女子が建物の周りを囲んでいた。軽く三重くらいにはなってる気がする…




『何これ…凄すぎる…』




とても中をのぞきこめる位置まで行けない。帰ろうか悩んでいると、数人の女子が私の方を振り向いた。



それと同時に、私に向かって女子が10人程走ってきた。その勢いに驚いて、私も振り返り帰ろうとした。



“ドンッ”



視界には、剣道の道着。視線を上げると蒼い瞳が見えた。一瞬…目があった。



だけど、すぐに私の体は走ってきた女子にぶつかり、その人の前から弾き飛ばされた。



“斎藤先輩”



その人を囲む女子は、その人をそう呼んでいた。



顔を見れば、すごくかっこよかった。整った顔…鼻筋が通っていて、紫の柔らかそうな髪の毛。



千鶴がかっこいい人がいると言っていた訳がわかった。



それでも、剣道場のまわりには女子がたくさんいた。


中にもかっこいい人がいるって事だよね。女子の勢いにうんざりした私は、そのまま家に帰った。









蒼い瞳の視線…



心が苦しかったのは何故だろう…


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