「Identity」

□Eternity
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お正月が明けたけど、結局仕事は見つからないまま一月の下旬になった。



「バイトでいいじゃない」



真希はそういうけど…経理のバイトって意外に少ない。さすがに私も焦りはじめた。そんな時、父から電話が来た。



「名前、まだ仕事が見つからないのか?経理経験者を募集してる所がある。受けてみるか?」



『えっ…でも…』



「五年はいれる奴を探していると言ってたが。おまえじゃ無理か」



馬鹿にされたみたいでカチンと来た。経理はちょっとやっただけじゃ全体を見れるようにはならない。



長くやれる人を探してるってことは仕事を任せたいってことだ。




『受けてみる…』



女の私がどこまでやれるのかはわからない。でも納得行くまで仕事してみたかった。父に言われた所に行くと、美容関係の家電を作っている会社の経理だった。



小売りじゃないから工場の部品の仕入れや支払いなど細々した内容の仕事だった。経理にいるのも三人だけ。



簡単に話をすると“明日から来てくれ”と採用された。朝から晩まで働きづめ。


内容的に難しくはなかったけど人数が少ないから一人あたりの仕事量が多かった。



8時位までの残業がほとんど毎日。一日があっという間だった。



後で“どうしてすぐ採用だったんですか?”って聞いたら残業がきつくて辞めてく子ばっかりだからって言われた。なるほど…だった。




二月に入って遅くまで残業した日。家に帰ると11時位。ヘトヘトで鍵を開けた瞬間、私の耳に聞こえた声…




「あん…そこっ…はああ…んんっ…いい!!」



「真希ちゃん…イクぜっ…クっ」




ああ…


私の平和が無くなった…




真希と暮らし初めて一月半。真希との同居はそれほど大きな問題は起きなかった。




それは真希に彼氏がいなかったから。真希の部屋は私の部屋の隣…今の状態じゃ部屋に行ったら余計聞こえる…



私はお風呂へと向かった。お風呂の用意はされてなかった。シャワーを浴びる間に二人が終わるのを祈るしかなかった。



ゆっくりお風呂に入りたかったのに。仕方なくシャワーを浴びた。でも体が中々あたたまらない…



湯気が浴室に立ちこめていた。“ガチャ”急に冷たい空気が入ってきた。慌てて振り返ると浴室のドアを開いてる知らない男の人…



『きゃー!!チ…カン!!』



私は胸を両手で隠ししゃがみこんだ。その叫びを聞いた男の人は“すっ、すまねえ!!”と扉を閉めた。



「何してんのよ、新八!!」



真希の怒鳴り声が聞こえた。


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