「Identity」
□Bletilla striata Reichb.f.
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目が覚めると私はベットの中にいた。布団の中が暑い…隣には平助が寝てた。額に手を乗せると熱い…
「おはよ…名前…」
その声は弱々しくて、なんだか切なく感じた。
『熱下がってないみたいだから、医者行く?私、会社休むよ…』
「大丈夫だよ…子供じゃねえし。薬飲めば治るから心配すんなって…名前は仕事いって?」
『…わかった。じゃあ熱測って?私、お粥作ってくるね…』
机の引き出しから体温計をだすと平助に渡して、キッチンへと向かった。
『お粥できたよ。熱…何度だった?』
「37.9度だった。そんなでもねえな…でも、大学は休むよ…腹減った…いただきます」
思ったより熱なかった…微熱なら寝てれば大丈夫かな…
お粥を食べる平助は元気そうに見えた。私は飲み物とかをミニテーブルに準備して、会社にいく用意をした。
『何かあったらメールして?』
「いってらっしゃい…」
そういう平助の顔が不安そうな子供みたいで、思わずキスした。
「風邪うつるぞ…」
平助の顔は赤かった。いつも平助には元気をもらってるからおかえしだよ…
食欲あるし薬飲んだから後は寝てるしかないよね…
『元気になるおまじない。早くよくなってね?じゃいってくる』
そういうとベットから手をふる平助。私は憂鬱な気持ちで会社に向かった。
平助の事も心配だし、斎藤君の事もどうしたらいいのか…
だから、平助の唇が熱かった事を気にとめなかった。