『Identity』

□Two alternatives (4-4)
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空港からおばあちゃんの家の近くまでバスで約二時間かかった。お葬式にきた時の記憶と住所の一部だけでなんとか近くまで来れた。




おばあちゃんの家はもうないから目に入った小さな旅館に泊まる事にした。当日の夕方で素泊まり…




中途半端な時期でお客さんもあまりいない。今日はずっと乗り物で移動したから疲れてしまった。




押し入れから布団をひっぱりだし横になった。すぐに瞼が落ちてきた…




目を覚ますとすでに真っ暗な部屋。窓辺に行ってカーテンを開けた…




そこには東京とは比べものにならない数の星…




私はコートとバックを持って外へと飛び出した。旅館のまわりは明かりがあった。暗い道へと走った…




ご飯を食べてないせいかすぐに息があがりゼエゼエいう音が聞こえた…




明かりを感じない原っぱみたいな所に来た。見上げればあの時と同じ星空…




一番きらきらしてる星…





見つけた…






『お母さん…』






私の口からは自然にその言葉が零れ落ちた。ただ思い出すだけで心が温かい…




母と一緒にいないから寂しい…そう思っていた。だけどあの時の私は輝く星が母だと感じた。




一緒にいるいられないというのは関係ない。大好きな人を遠くにいても感じられるだけで…








幸せなんだ…








私の目からは答えと共に優しい涙が溢れた…








私が土方さんと一緒にいる事はない…







でも同じ会社で働けるだけで私は土方さんを感じる…








それだけで、いい…








土方さんを止める…そうすれば会社の人達も苦しむ事はない…










きっと土方さんもいつか愛する人を見つける…







私じゃない誰かを…









穏やかな心で星の瞬きを見ていた…



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