『Identity』
□Two alternatives (2-4)
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真希が帰り私はため息をついた。あの子は強い…
一緒にいると自分以上の強さで押されるから離れるとどっと疲れる…
真希が来ると思って起きていたけどやっぱり具合が悪い…
私は部屋へ行って着替えるとベットに横になった。
一眠りすると携帯のバイブ音がした。バックからだすと平助君からだった…
『平助君…』そう言った声はガラガラだった。
「名前さん?風邪ひいてんの?大丈夫?」
いつもの平助君の声だ…なんだか懐かしかった。
平助くんがいない間に起きた事が夢だったら…そんな事を考える私はどれだけ狡いのだろうか…
『うん。大丈夫だよ…ごめんね…電話でれなくて…試合どう?』
「電話なんか気にすんなって…試合は何回か勝ったよ。でもすげー強くてさ…やっぱもっと練習しねえとだめだ…」
平助君のいる世界と私のいる世界が全然違うみたいに感じた…
『そっか…がんばってね…』
「名前さんも無理しないで。明日の夜に帰るから…」
『うん…わかった…』
“じゃあな”と電話は切れた。私はだるくてベットから起きれなかった。
熱がある…そう思ったけど体の節々が痛くて眠るしかなかった。
一人暮らしをしていた時は具合が悪い時でも自分で食事の用意をして薬を飲んだりしていた。全部一人で…
でも今はそんな事する気になれなかった…
思い出すのは土方さんに看病してもらった時の事で…
人に甘えて頼る事を教えてもらった…
考えはじめれば私の頭は土方さんで一杯になってしまう…
冷たいものが頬をつたう…
どれだけ熱があるのか…
あの時に戻りたい…
そんな願い叶うはずない…
そんな事わかってたけど…
願わずにはいられなかった…