『Identity』
□19.2nd September
1ページ/10ページ
土方side
藤堂から名前が全部知っていると聞いた…
それまで俺を捉えて離さなかった名前との思い出…
だが全てが悲しそうな名前に塗りかえられちまった…
俺の腕の中にいた名前の表情、声、態度…全てに悲しみが隠れていた…
おまえに伝えた俺の気持ちは本物だ。
嘘偽りはねえ…
だがそれを素直に聞く事なんて出来なかったよな?
そっとしておくより残酷な事をしちまったな…
だが耐えられなかったんだ。名前が藤堂のものになっちまうのが…
だがさっき会った藤堂…名前と付き合ってるんじゃねえのか?
“俺の女に手をだすな”みてえな言葉は一つも出てこなかった…
独占欲がねえのか?そんなやつがいる訳ない…
あいつは全てを知ってる。名前を抱いた夜の事も…俺が電話を取ったからな…
それでもあいつは名前と一緒にいる事を選んだ…
それほど名前の事を想っているって事だ…
名前の傍にいて藤堂には名前だけ。
あいつには全てを打ち明ける名前…
なぁ、名前…
おまえの心の中に俺の場所なんて…
もうねえのか…な…