『Identity』
□6.The year end
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クリスマスの食事の後、私達は無言だった。私がいけなかったんだと思う。ただ素直に喜ぶだけでよかったんだ。
ダイヤモンドというと真実の愛というかそういった類のイメージがある。土方さんの事を好きだという気持ちは嘘じゃない。
自分の事を愛せていない私がもらっていいものには思えなかった。大きなダイヤは私にとってプレッシャーだった。
でも土方さんに貰えた事が嬉しい…家に帰ってから毎日ケースを開けてネックレスを眺める日々。身につける事はできなかったけど…
これが恋人から貰ったものなら素直に身につける事ができるのかな…仕事が順調だからとお礼で貰ったものだから高価に感じてしまうのかな…
考えても答えは出ない。でもいつか身に付けても違和感がないようになりたい。自分に自信が持てるようになりたい…そんな事を考えるようになった。
クリスマスも過ぎると年末という事でバタバタした。外回りに出かける事もなく年末年始のお休みの前にしておかなければいけない仕事を片付けた。
外に行かないとなれば私はただの電話番。土方さんと話す事もなく仕事はお休みに入った。