『Identity』

□4.November
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土方side


苗字の家に泊ってからあいつの事が気になりだした。俺は仕事が全てそういう生き方をしてきた。



女に不自由したことはねえが俺が自分から惚れるなんてことはなかった。



出先でしゃべりたくねえと思っていた俺が苗字に話し掛ける始末。



苗字の事が知りたくて必死に話題を探す俺は滑稽だ。



だが振った話に苗字が答えてくれると俺は嬉しくなって顔が綻ぶ。



ガキじゃあるまいし話しをした位で喜ぶんじゃねえと思いながらもそれ以上は手出しができねえ。



何が違うのかはわからねえ。だが確実に俺の心を鷲掴みにしている事だけは確かだ。



はじめは俺と話しをすると考える間があった苗字。だが最近はすんなりと会話が成立するようになった。



俺に気を許している。ただそれだけの事なのに優越感を感じる。だがどう見ても色恋に疎そうな苗字。



俺が先走って失うよりはゆっくりでも確実に手に入れてえ。あいつの目はまだ、俺を男としては見てねえ。俺は単なる上司だ。



早く気付けよな…苗字。


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