拍手小説
□02.テーブルモビール
1ページ/3ページ
『おはよう、千鶴』
「おはよう、同じクラスだね。よかった」
幼なじみの私達は、薄桜高校に入学した。家が近所で、幼稚園からの仲。
どちらかというと大人しい私。明るい千鶴と一緒にいると楽しい。
「絶対、剣道部のマネージャーになる!」
なぜか、入学前から宣言していた千鶴。放課後帰ろうとした私は、引きとめられた。
「マネ、一緒にやろうよ?」
『へっ?私が?なんで…?』
「嫌なの?」
『嫌…』
皆の為に、何かするのは好きじゃない…
何故かは、わからないけど…
私の硬い表情に、しょうがないと千鶴も諦めた。
“じゃあ、日曜にね”千鶴と別れた。
日曜は毎週のように【映画鑑賞】…千鶴好みの。
“これすごくいいんだ”って、泣けそうな映画を選んでくる。
そして終わると、大泣きしている…千鶴が。
私は映画というものを見て泣いた事がない…いや、それ以外でも泣いた記憶がない。
赤ん坊の時は泣いていたはずだけど…ね。
映画やドラマを見て、可哀そうと思う事もある。学校で悔しいこともある。
でも、なんだか涙を流すまでの事には思えない…
いつか、泣く日がくるなら…
嬉し泣きがいい…