優しく、キスして

□7.此に病める者あり
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『ふぁ〜』


時計を見ると5時と少しいつもの起床時間より早い時間だった。

まだ頭がボーっとする。

あ・・・メガネ。

こう見えて私は意外と視力が悪いのである!

いつもはコンタクトなんだけどね。

フレームに深みのある黒縁のメガネをかけると視界がひらける。

とりあえず顔でも洗おう、と思い向かった先は廊下の蛇口スペース。

そこにはまだ誰もいなくただ蛇口から垂れている水滴の音が響いていた。

蛇口を回すと勢いよく水が出てきて服にまでかかってしまった。

制服じゃなくてよかった・・・

でも濡れたままだと気持ち悪いし着替えよっかな。

顔を洗い完全に目が覚めたところで、メガネをかけなおすと私の者ではない足音が廊下に響いた。


『・・・勝呂くん?』

「雨宮さんか、おはよおさん」


そこには汗をかいた勝呂くんがいた。

どこかに行っていたのかな?


『どっか行ってたの?』

「あぁ自分を鍛えるためにちょっと走っとったんや」

『そりゃおつかれさまだね〜』

「ていうかお前、目悪いんか」


あ、いつもメガネしてないからかな。

そりゃ人間たる者気になるよね。


『うん、いつもはコンタクトなんだけど朝だけね』

「せやったんか」


といって勝呂くんは私の横に来て顔を洗い始めた。

男の子の洗い方ってもうちょっとガサツなのかと思ってたけど意外と丁寧なんだ。

いや勝呂くんだからか?


「ん?俺の顔になんかついとるんか?」

『い、いやなんでもないよ!』

「そうか、じゃまた後でな」

『あ、はい・・・』


なぜ今敬語になったんだろう・・・

まぁいいや、私も帰ろう。
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