*Present*

□白く小さな鐘の声
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白く小さな鐘の声

クラウドは一人、ミッドガル伍番街スラムの教会に来ていた。
人のいない教会は静寂に満ちていて、歩くと靴の音が響いてよく聞こえる。
礼拝台の前は天井から光が差し込んでいて、光の当たる床の割れ目に花が咲いていた。
甘い、穏やかな香りをあたりに漂わせている。


「何も変わってないな。」
前に来たときと変わらない花を見つめて、クラウドはそう呟いた。

メテオ災害から1年ほど過ぎて、ミッドガルの街はゆっくりと元に戻り始めた。
神羅カンパニーはなくなったが、人々は支えあいながら今を生きている。
平和になった、とでも言えるのだろうか。

街に流行っている謎の病、星痕症候群と呼ばれるものを除けば。

メテオを防いだライフストリームの光に当てられた者がこの病になった。
精神エネルギーを浪費し続けていた人間への星の怒り、そう考える人々が多い。
しかし、クラウドはそれを信じていない。
エアリスは忘らるる都でライフストリームに溶け込んでいった。
そしてあの日、メテオを防いだライフストリームの帯にクラウド達はエアリスの笑顔を見た。
自分達を助けてくれたエアリスが還っていったそれが、人々にこんなことをするだろうかとクラウドは考えていた。
それにライフストリームではなく、もっと別の何かをクラウドは感じとっていた。
何かもっと冷たいものを。
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