main-短編
□webclap3
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「なんでワシがこないなことせなアカンねん…」
嶋野組事務所で行儀悪く組長室の机の上に胡坐をかいて座っていた真島は呟いた。
嶋野の狂犬と呼ばれるようになってから当たり前のように居座っていたこの部屋。あんなに居心地がよかったはずなのに今はとても居心地が悪い、不愉快だ。
それもそのはず、組の頭をなくしたこの事務所は今組員達の手によって整理されているのだから。
嶋野がこの世を去り、組として機能しなくなったので事務所を明け渡す。次に組長と名乗る者がいなければしかたのないことである。
親父である嶋野の机の整理を任された真島だったが引き出しを開け書類に一応目は通しては見るもののさっぱりお手上げだ。
これは柏木に頼んだらエエやん、そう提案したら柏木さんは風間組を継がれるからそんな暇はないと嶋野組組員に叱られた。
わけのわからない書類は放棄し渋々手を進めていると、なんともおかしなものが発掘されたりする。
まずは櫛、俗にいうヘアーブラシというものだがどう考えても嶋野には必要のない代物だ、なにせ綺麗に剃りあげているのだから。
「親父の奴、これでどこブラッシングしとったんやろ…」
イヒヒと笑いながらゴミ袋にポイと投げ捨てる。
次に出たのが女の写真。何度か見た事のあるこの女性はなぜか全裸でポージングしている。
「なんやこの写真…。裸やのに全くそそらんなぁ、親父の趣味はわからんわ。」
数枚めくるといかつい表情で同じように全裸でポーズを決める嶋野のショットが現れた。
「うわぁ〜…見たらアカンもん見てしもた…」
うなだれながらゴミ箱へ捨てると、自分もいつ死ぬかわからない、もう一度身の周りに妙なものがないか調べておこうと真島は思った。