緋色の鎖
□第五章
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信じてた。
コイツだけは
最後まで一緒に居てくれる。
そう
信じてたんだ。
数刻前、自分の部下に言われた事を胸に秘めながら、土方は今目の前にあるその現実に直面していた。
二人の子供に護られている、血塗られた存在。
それは間違いなく、自分のよく知る銀色の恋人だった。
「おいガキ、そこを退け。じゃねぇと公務執行妨害でテメェらもしょっ引くぞ」
「突然なんなんです・・・!?銀さんが連続殺傷事件の犯人って・・・アンタ本気で言ってるんですか・・・!?」
「昨日新たに被害者が出た。銀髪の男を見たっていう目撃者がいて、そこに落ちてた銀髪はコイツのもんで、今現在全身返り血浴びてる奴が目の前にいる。・・・証拠がありすぎてむしろ怖いくらいだろうが」
「そ・・・そんな・・・!」
「おい銀時」
「・・・っ!」
尚も言い募ろうとした新八を無視して、土方は真っ直ぐに銀時を見て声をかけた。
それを見返すことが出来ず、銀時は反射的に眼を逸らす。
それが気に入らなかったのか、土方は眉を顰めて口調を荒げた。
「自首するってんなら、悪いようにはしねぇ。さっさとお縄にかかりやがれ」
「・・・っ・・・俺は・・・」
ようやく口を開いた銀時に眼を向けると、予想外の発言が飛んできた。
「・・・俺はしらねぇ・・・俺じゃねぇって!!」
「・・・まだしらばっくれるってのか」
「覚えてねぇんだよ、朝起きたらこうなってたんだっつの!!」
「それを信じろってか?」
「信じてくれねぇのかよ、てめぇは・・・!!!」
「・・・っ」
それは、悲痛に揺れる紅い瞳と共に。
泣きそうな顔で訴えてくる銀時は、土方ですらも見たことの無い姿だった。
・・・しかし。