緋色の鎖

□第四章
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数刻前。

真撰組屯所内は暗く重い空気が漂っていた。

ここ最近。

自分達が受け持っていた大きな事件の犯人として名前の挙がった男、坂田銀時。

彼は、自分達の上司の恋人でありながらも、その存在は癒しであり目標だった。
そんな男が、連続殺傷事件の主犯であったとは。

信じたくは無い。

信じたくは無いが、しかし。

あの後現場で見つかった頭髪の検証結果は、間違いなく彼の名を示していた。

信じたくない。

だが現実はあまりにも非情であった。


「・・・土方さん。何処へ行くつもりで?」

「・・・犯人しょっぴきに行くんだろうが」

「それが誰のことか、分かって言ってるんですかィ?」


副長室で一人。
刀を腰に差して身支度をしていた土方の元に現れたのは、その顔をあからさまに曇らせた男、沖田総悟。
恐らく自分と同じ程に、自分の恋人を想っているこの男が。これから自分のやろうとしている事を黙ってみている筈は無かった。


「・・・当たり前だろうが」

「アンタは・・・!!」

「奴の過去を調べた」

「・・・?」


突然何を言い出したのか。
訳が分からず、沖田は訝しげに眉を潜めた。
しかし、土方は顔色一つ変える事無く続ける。


「白夜叉って名前、知ってるか」

「・・・白夜叉・・・?」


沖田は呟いて思考を動かす。
どこかで聞いたことのある名称。
記憶を掘り起こして、ようやく曖昧な記憶を引っ張り出した。












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