緋色の鎖

□第一章
2ページ/3ページ



「あーもう。土方君が目の前であんな犬のエサ食いやがるから、せっかくのパフェが台無しだよコノヤロー」


といいつつも満腹になった腹をさすりながら歩くのは、銀色の髪を持つ男、坂田銀時。
銀時は足元に転がっていた小石を蹴り飛ばして、隣を歩く男を軽く睨む。


「あんな甘ったりぃもんにがっつかれる方が気分ワリィんだよ」


負けじと瞳孔の開きかけた瞳で睨むのは、真撰組、鬼の副長と恐れられる男、土方十四郎だ。
口調は喧嘩腰ながらもその雰囲気は柔らかく、夕暮れに沈みゆくかぶき町の中をゆっくりと歩く。
他愛の無い会話を交わしているうちに、二人はいつの間にか万事屋銀ちゃんの看板の前まで辿りついた。


「で、今度はいつ奢ってくれるわけ?」

「全くもって可愛くねぇ誘い文句だなオイ」


ニンマリといやらしい笑みを浮かべている銀時に溜息をつきながら、土方は煙草を一本銜えて火を付けた。


「今ちょっとめんどくせぇ事件抱えててな。ま、手あいたら構ってやるから我慢しろ」

「え、なにその上から目線。腹立つんですけど。すげー腹立つんですけどー!」


喚く銀時に土方は一瞬その目を優し気に細めてから、フワフワとなびく銀髪を一撫でする。
一瞬で大人しくなった銀時の頬に軽いキスを落としてから、もう一度頭を撫でて背を向けた。


「また連絡する」

「・・・おう」










次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ