白銀の月
□第十幕
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「敵が動いてて、狙いが俺で。そう来たらほら、次はどう来んのかくらい分かんない?」
「ぁあ?何訳分かんねぇ事・・・・っ!?」
いぶかしげに銀時を見ていた土方だったが、その頭の回転の良さで直ぐに言葉の意図を理解し眼を見開く。
銀時はその様子をチラリと横目でみてから小さくため息をつき、ゆっくりと立ち上がった。
「ま、そうゆうこった。オメェの大事な真撰組護りたいってんなら、黙ってそこに座ってろや」
「テメ、何メチャクチャな事言い出してやがる。言ったはずだ。テメェがまんまと拉致られちまったら、それこそ真撰組の評判は地に落ちて終わりなんだよ」
「心配しなくてもオメェらの評判は既に地どころか地面突き破って海底の奥深くまで沈んでんだ。今さら一個落ちたとこでたいして変わんねぇよ」
「心底腹の立つフォロー痛み入るぜこの糖尿野郎・・・!・・・っておい!!」
スタスタと部屋を出て行こうとした銀時を、土方は慌てて立ち上がって呼び止める。
足は止めたものの顔はこちらを向けない銀時に軽く舌打してから、苛立ったように頭を掻く。
「・・・忘れたとは言わせねぇ。テメェはここに仕事で来てたハズだ。それを途中放棄たぁどういう了見だ」
「何言ってくれてんの。仕事はちゃーんとこなしたぜ?依頼内容は”騒ぎが落ち着くまで”だったろ」
「どこも落ち着いてねぇじゃねぇか」
「落ち着くんだよ、コレで」
「あ・・・?・・・まさかテメっ」
銀時の言わんとしている事を理解した土方は、その目を鋭く細めて睨みつける。
痛い程の視線を感じてか銀時は肩越しに土方を振り返り、その視線を軽く受け流すような気だるげな表情を浮かべた。
「勘違いしないでくれる?別にわざわざ捕まりに行くとか言ってんじゃ無いんだから。俺の大取劇より、なんやかんやでも一応幕臣のここを襲撃される事のほうが世間的に大騒ぎだって言いたい訳よ銀さんは」
「テメェが俺達を心配するとはな・・・今日の天気は雪か?」
「なーんで俺がオメェらなんぞの心配しなきゃいけない訳?・・・・・・俺ァ俺の護るもん護るだけよ」
「・・・・っ」