妖狐の煌
□29、氷男
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レーゲン島を離れてから数日…。
クレイモア海賊団もウメミヅキ島の人達も、今ではすっかり仲良くなっていた。
「ねぇせんちょ、あそぼ」
「せんちょがオニな!」
「うるせガキ共!それと俺の事は船長様と呼べ!」
「えーやだー、せんちょはせんちょだよ」
「だいたいせんちょ弱そうだしな」
「何だとクソガキ共!」
『うきゃーー!!』
「待てゴラァァ!!」
クレイモア海賊団の船長は子ども達を追いかけ、いつの間にか鬼ごっこが始まっていた。
船員やウメミヅキの人達は平和ボケに過ごしながら、それを温かく見守っていた。
――バンバン、バン!!
『!!!?』
そんな時、船内から銃声が鳴り響いた。 甲板は先ほどの温かな歓喜は一気に静まり、みんな固まって、クレイモア海賊団の者達は一歩前に出る。
すると、勢いよく船内に通じる扉が開いた。
ロール「アクトちょっと待て!何で撃ってくるんだよ!?」
アクト「問答無用だバカ!てめェ今日こそくたばれ!!」
銃声の正体はアクトが撃っていた銃で、標的はロールであった。
アクトは甲板に出て人が多い事に気付き、舌打ちしながらロールを追うのを止めて、勢いよく扉をしめて船内へ戻ってしまった…。
ロール「ふぅ…ったく何だってん「きゃぁあああ!!!!」どうした!?」
いきなり周りにいた女性達が次々に叫び始めた。
しかし、状況を確認すれば、叫ばずにはいられないのであろう。
「どうしたじゃねェよ!?」
「アンタなんで服を着てねェんだ!!?」
…我に返った周りの人達はやっと突っ込んだ。
ロールが何も服を着てない事に。
辛うじてタオルは持っているが、男だらけの船に何年も乗っていたロールにとっては羞恥という、しゅの字も無いので叫ばれる意味などロールは全く分からなかったらしい……。