総隊長と家族
□68 戴冠式
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ワイワイ
ガヤガヤ…
朝から街の中は騒がしい…、いつもは商品を並べたりする者があちこちと働いていたりするが、今日は一般の人も何やらワイワイとしている。
「え?急にやるのか?」
「何か朝から連絡あったんだとよ」
「随分と急だな…、そいつら本当に本物か?」
街人たちの噂は結構早い方で、アデル王子が偽物だったというのがすぐに流れたもよう。
そして、本物のアデル王子がいる事も聞いたようだ。
「今回は本物みたいだぜ? ゼウス様が直々に来たんだからな」
「ええ!? あー俺も会いたかったなぁ…」
「ハハ、残念だな」
「今日の戴冠式は本物のアデル様に行われるものだそうだ」
「へー、」
「どんなお方だろうなぁ…」
さて、ここでお忘れの方もいるかもなので戴冠式とは?を教えよう。
戴冠式とは国王から王子…つまりゼウスからアデルが王を引き継ぎ、王冠を受け即位した事を広く示す儀式の事。
簡単に言っちゃえば世代交代の儀式である。
それはつまり、フィンがこの国の王になる事となる…。
そのフィンは今、城のとある部屋でドレスアップをした所だ。
王子様らしく赤い色が目立つコートを着ている。
だが、そのフィンの目は暗く光がないような感じであった。
ただの人形…、そう言っても過言ではないかもしれない。
そんな時…、
ゼウス「…、着替え終わったか」
フィン「…」
部屋にゼウスがやって来た。
ゼウスは特にフィンの様子に気にかけはしていなかった。
フィン「…何してればいいの…?」
ゼウス「ただ、堂々としていればそれでいい」
フィン「……」
ゼウス「……、式はもうすぐだ。それまでゆっくりとして待っててくれ」
そうゼウスが言うとフィンはコクリとだけ頷いた。
ゼウスは他にやる事があるようで部屋から出て行き、フィンは一人となった。
フィン「……」
何も考えず、ただ受け入れる…そうしていれば何も傷つく事はない。
その新しい居場所に慣れれば、きっとまた楽しい事は起きる……。
もう…、そう考えてればツラい事なんて……