妖狐の焔
□28、残り5日
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ー5日後ー
ロール「さて‥本部までどうやって行くか…」
シャボンディ諸島が見えて来て、とりあえずどうするかを考える。
これ以上はこいつらに付き合ってもらうのも悪いし、かと言って手段がねェしな……処刑まで後2時間もねェのに。
ロール「…なぁ」
「へい、」
ロール「小船かなんかねェか?」
「小船ですか…?」
ロール「ああ」
悩んでても始まらねェし、小船で行ける所まで行くしかねェな。
「小船っつーか…その……、」
ロール「ん?」
「エンジンがねェ小船っつーか‥なんつーか…?」
ロール「何言ってんだお前?」
「まぁあるにはありますが………おい、」
「へい、」
ロール「?」
船員たちは船長のアイコンタクトで船内に行ってしまった。
そして数分後、戻って来た……船を抱えて。
というより、これは普通の船じゃねェ。
エンジンが無く、サーフボードのような1人用の船……ストライカー。
ロール「なっ何でお前らが持ってんの!?」
「え?あぁいや、前の島にあったんで高く売れ…いや、拾ったものなんですが俺らじゃ使える品じゃないっすから」
それはそうだ。
このストライカーはエースの物で、メラメラの能力限定の船なんだから。
ロール「………」
もしかしたら、俺の炎でも……。
(白ひげ:炎を出すんじゃねェぞ、ロール)
ロール「………」
………
……
目にふと浮かんだのは、弟…エースの姿。
ーー悪い、親父。
俺は自分の身より、目の前の家族を失う方が、何よりも一番嫌なんだ。
ロール「おっしお前ら! ここまで送ってくれてありがとな!」
「へっ?」
「ま、まさかこれで行くんすか!?」
「使い方とか分かりませし、まさかオールで…!?」
ロール「こいつの使い方なんざ分かってるから大丈夫だ。 あ、お頭さん乗せてった礼に少ねェけど俺の小遣いで我慢してくれ」
ひょいっ、
「っとと…、」
ロール「んじゃ、ありがとな!」
ロールは頭に金の入った袋を渡し、ストライカーを海に出し、乗り出した。
ロール「…ふぅぅ‥っ」
炎なんて何年振りだろうな‥。
つーか、俺の炎で走ってくれるだろうか?
ーー…、
ゴォオオオ!!!
ザァアアアアア…!!
『!』
ロール「うっはーっ!!」
ザァアアアアア…!!
ストライカーのバルブに炎を流し込むロール。
ロールはそのまま船を去って、海の先へと行ってしまった。
「行っちまいましたねー」
「ああ…、」
「何か寂しっすねー」
「馬鹿言ってんじゃねェってんだ!!」
「まぁまぁ頭、んでいくら貰ったんですか?」
「あ?ああ……、!?」
ジャラジャラ…!!
「小銭多っ!! つか、全部500ベリーっすよ!?」
「おいおい、いくらだよそれ!?」
「少なくとも300枚はあるんじゃねェか!?」
ガヤガヤ…、
「……ち、何か調子狂う奴だったな‥」
「そうっすね〜……、」
「…出航するぞ、」
「へい!」
ロールを乗せてくれていた海賊団も、のんびりと再び海を漂い始めていた……。