妖狐の焔
□17、医者
2ページ/2ページ
誰かが近づいて来る‥。
フィレスは銃を持ちながら、その誰かが来るのを待っていた。
フィレス「っ……」
?「ーーん?」
現れたのは1人の男。
タバコを吹かしていて、年は30代ぐらいだろうか。
だが、まだ敵ではないとは言えない‥。
?「こんな所で何してんだ?」
フィレス「え…、その‥」
?「ん‥?ーー!!!?」
男はロールを見た瞬間、目つきを変えた‥。
すると、男はロールに近づいた。
フィレス「ッ、あの‥何ですか?」
?「いいから診せろ。俺は医者だ」
フィレス「えっ…!?」
?「………」
男はフィレスを退かし、ロールを診た。
火傷、刺さり傷、切り傷……何より、海水に浸かり過ぎて傷が炎症を起こしている。
男はある程度、持ち合わせていた物でロールを手当てをした。
フィレス「あの‥、」
?「応急措置をした。だがこれじゃあロールの身が危険だ、俺の家に来い」
フィレス「あなたは一体‥!?」
?「俺はレイス。詳しい話は後だ!とっとと運ぶぞ」
フィレス「は、はい!」
フィレスにとって、この男が何者かは分からない……けれど今頼れるのは医者と名乗ったレイスしかいない。
フィレスはロールを連れ、レイスの家に来たのだった‥。
*
*
フィレスが、そのレイスと名乗った男が白ひげ海賊団の元2番隊隊長だった事を知ったのは次の日の事だった‥。
レイス「ーーまさか、ティーチの野郎が、んな事するとはな‥」
フィレス「………」
レイス「あいつは確かに、俺がいた時も何考えてんのか分からん奴だった」
フィレス「‥そう、何ですか……」
フィレスは聞いているのかいないのか分からない返事をしていた‥。
レイス「…………心配しなくたって、ロールはもう大丈夫だよ」
フィレス「‥分かってます……けど‥、」
レイス「…」
それでも、心配なんです……と、フィレスは言った。
その後、しばらく沈黙が続いていたのだった‥。