妖狐の灯
□20、ある島で
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ー船首ー
サッチ「ハァ………、」
「どうしたんすかー、隊長」
「珍しくため息なんかついて、」
「ナースに嫌われたんですか?」
「それとも叱られたんですか?マルコ隊長に、」
「いや、それはいつもの事だ。そりゃねェだろ」
「じゃあ………、」
「あ!分かった、ロール隊長が居ないからだー!!」
『ああー、』
「なるほど、ロール隊長か」
「イゾウ隊長と行っちまいましたしね、」
「寂しいんですかぁ、」
「うーん、さすがブラコン」
サッチ「っ‥てめェらさっきっから黙って聞いていりゃア!!!」
ヒュー‥、
「ちょっ!隊長っ!!落ちついてっ!!」
「そうそう!まずは話し合いを、」
サッチ「アホかァアア!!!これが落ち着いてられ」ゴンッ!!
『!!!!?』
上から急に人が降って来て、その者はサッチに見事に当たった。
フィレス「ッ〜…、」
何と降ってきたのはフィレスであった。
何故なら先ほど、船の近くまで来た3人。
だが上が騒がしくハシゴを下ろしてくれと叫んでも聞こえていないらしく仕方ないので自力で上る事に。
だがモビーによじ登れないとフィレスが言ったので、ロールは、なら俺に任せろといい、投げられたフィレスであった。
「ってか、誰だコイツ…?」
「隊長生きてんのか‥?」
ツンツンとサッチの生存を確かめる船員達。
すると‥、
イゾウ「……ハァ…やれやれ‥、」
「あ、イゾウ隊長!」
「おかえりなさい、」
イゾウが船に上って来て船員達は温かく迎えた。
サッチを気にする者は、もはやもう居ない程に……。
フィレス「ぅ……あっ‥ご、ごめんなさいっ!」
フィレスはやっとサッチから離れ、謝っていた。
「イゾウ隊長、誰すかコイツ?」
「あー、誰だか知らんがそんなに謝らなくても大丈夫だ」
「いや、むしろ助かったかな」
フィレス「え?」
サッチ「ッ……、」
「あ、やべ‥っ、」
サッチは気がついたらしく、起き上がろうとしたところ……、
ロール「よっ、と」
サッチ「ぐ…っ‥、」
『あ………、』
再び潰されたサッチ。
この域を超えると、もはや可哀想に思う……。
ロール「あー、やっと上れたなぁ」
「ロール隊長、おかえりなさい」
ロール「ん?おう。ああそうだ、サッチってまだ仕事中か?」
「いえ、先ほど終わって羽を伸ばしてましたよ」
ロール「ん?どこに居るんだ?」
「そりゃまァ……、」
「隊長の…足下に、」
隊員は笑いをこらえながらロールに言った。
ロールは、え?と声を出し、足下を見た。
そこには押し潰されて伸びているサッチの姿があった。
ロール「サ、サッチ!!大丈夫か!!?わ、悪い気付かなかった!!」
船員は声を出さないように笑い始めていた。
ロールは必死にサッチに問いかけていた。
その後、サッチは目を覚まし、とりあえず近くにいた部下全員に仕置きをしていた。
ロール「サッチィ、大丈夫か…?」
サッチ「ああ‥まァなんとか、」
(((俺らは大丈夫じゃないです…、)))
サッチ「ところで、そいつは…?」
フィレス「…」
ロール「ん?新しく入った奴だぞ。ちなみに俺の部下だ、」
『へ‥?』
サッチ「部下‥。部下ねェ……まァいいけど、名前は?」
ロール「………そういや名前なんて言うんだ?」
(((((うぉいっ!!!?)))))
誰もがそう思った一瞬であった。