妖狐の煌
□27、解決
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クレイモア海賊団…。
2年前は名乗らずに去っていった海賊団の名前。
この海賊団は2年前のエース処刑の日、ロールが海賊本部に行く為の船がなかった時に、連れて行ってくれた海賊団……らしい。
ロール「そういやそんな事あった気もしないでも無い」
「どっちだよ…!!」
「本当あの後すぐ死んだって時は吃驚しましたよ! よく生きてましたね」
ロール「イエイ!」
ピースして何だか盛り上がってもいる。 もうロールにはシリアス染みた顔つきになる事はなさそうだ。
「…ところで、アンタら何でここにいんだ?」
ロール「…………………………………………………ああそうそう、うっかり忘れてた」
「間が長ェわ!」
「ロールさんしっかりして下さいよ…、」
みんなが呆れている中、一人笑うロールは、少し考えた後何かを思い付いたのか、口を開いた。
ロール「よーし、せっかくお前らと再会出来た事だし」
「忘れてた奴が言う台詞かオイ」
ロール「頼みがある」
「アンタの頼みは嫌な予感しかしねェな…、」
船長が顔をひきつりながらそう言うが、とりあえず聞くだけ聞くロールの頼み…。
また無茶な頼みだ…、とボヤかれるのは後の話。
*
*
エース「………」
ロールがいなくなってから、エースは自身を思い詰める事が多かった。
それでも最低限、最悪な事態は考えず…、ただ無事な事だけを心に祈る事も。
しかし、1週間経った今では、考えが変わっていた。
《もういきなり死んだりしねェよ
今度はさ、ちゃんと自分の事考えて行動するようにすっからさ!
約束だ――》
…… もういっぱい後悔した。
いっぱい泣いた…、
無力で終わってしまった自分を、いっぱい…恨んだ……。
――…
けどもう、責める自分は止める。
ロールが簡単に死なないって言ったから、
ちゃんと考えて行動するって言ってくれたから
約束、したから…――
サッチ「エース出掛けるぞ」
マルコ「もたもたしてんなら置いて行くよい、」
エース「っ分かってるよ!」
…ロールがまだ無事だと分かってから、親父に即捜させてくれと土下座した。
すぐには許してもらえなかったけど……、昨夜になってやっと許しを得た。
マルコとサッチと共に、という条件で。
こいつらが指名されたのはきっと、俺と同じように頼み込んだような…そんな気がする。
隊長同士の遠征なんて異例だが、今はそんな事言ってる場合じゃねェ。
必ず、無事な状態で、一緒に帰る。
そう出発時に心に決め、俺はストライカーにエンジンを焚いた――。