妖狐の煌
□4、体傷
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ガラッと浴室の扉を開けると、既に入浴している船員たちの注目の的となった2人。
ロールがトコトコと歩き、イスに座って体を洗い出してる間も船員たちのざわめきは止まらなかった。
ロール「…?、何みんな騒いでんだ」
サッチ「何って、あのな…」
お前の体の事に決まってんだろ…、サッチは隣に座りロールと同様に体を洗い出す。
ロール「体? …ああ、なーんだ」
サッチ「………」
ロール「親父みたいな体だから羨ましいんだろお前ら!」
サッチ「そっちじゃねェよッ!!?」
ざわめきは次第に笑い声へと変わって行き、サッチは深い溜め息を吐いていた。
*
*
ロール「んじゃ体洗い終わったし、俺はあがるわ」
サッチ「風呂浸かってねェだろー、」
ロール「まま待てサッチ!体洗えば十分だろ?!」
サッチ「風呂入って初めて十分だよお前は」
ロール「いやいや何言ってんだ!人間は浮かないって言葉知ってるか?!」
サッチ「知るか!だいたい足つくから大丈ー夫!」
サッチは再びズリズリとロールを連行し、風呂に突き落とした。
バシャバシャ
バシャバシャ
ロール「ブクブクブク…」
サッチ「だから足つくって」
ロール「……、…あれ?」
サッチ「あ?」
ちょいちょいと手招きするロールにサッチも風呂に浸かり、ロールに近づく。
ロール「力が抜けねェ…」
サッチ「!」
風呂も、能力者にとっては力が多少抜ける場所だが、ロールが抜けなくなった…つまりは、本当に能力者では無くなったという訳だ。
サッチ「…じゃあお前、泳げるのか?」
ロール「いや、俺元々泳げなかったし」
サッチ「……」
結局はあまり変わらない結果に終わっていた…。