総隊長と家族
□68 戴冠式
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ゼウス「……」
セァラ「行ってしまいましたわね…」
ゼウス「こうなる事は分かっていた事だ」
セァラ「…そうね、」
ゼウス「……幸せになってくれるといいな、」
セァラ「あら、見てなかったんですか?」
ゼウス「ん?」
セァラ「あの子は、走ってる時とても嬉しそうでしたわ」
あの人たちなら、あの子を…フィンを、きっと幸せにしてくれます。
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昨夜の時間帯。
ファイやメァリは寝静まり、ゼウスとセァラが一服をしていた時の事…。
トン、トン
セァラ「?、何の音かしら?」
ゼウス「……!」
ふと窓を見たゼウス。
そこにはサッチの姿…と不死鳥化したマルコがいた。
ゼウスは窓を開け、その2人を中に入れた。
ゼウス「どうなされたんですか? 窓からなんて…」
サッチ「夜分に悪ィ…、お願いがあって来たんだ」
ゼウス「お願い?」
サッチ「フィンの戴冠式を行ってほしいんだ」
「「!!!?」」
セァラ「あの子の、ですか…?」
サッチ「ああ…」
サッチはフィンの心に傷をつけてしまった事を話した。
そしてそれを直す方法…シャオンが提案したのは戴冠式を行い、自分らが何らかの方法でフィンの心を修正するというもの。
言葉で傷がついたのなら、言葉でそれを修正するしかない。
普通にフィンと対面して誤解を解けばいいのかもしれないが…、フィンはもう、それだけでは直らない所まで来ているのだ。
戴冠式を行い、それで想いを伝えればもしかしたら直ってくれるかもしれない…。
だがそれは結局は、言葉を掛けるサッチしだいで結果は左右される事。
ヘタな演技、安っぽい言葉はフィンの心には響かないであろう…。
ゼウス「そうでしたか…、」
サッチ「すまない…っ」
セァラ「そういう事でしたら、協力しますよ」
「「!!」」
マルコ「いいのかよい?」
ゼウス「私たちといるよりあの子はあなた達といた方が笑ってくれる」
サッチ「!」
セァラ「あの子の幸せが、私たちの幸せですわ」
微笑みながら言い、ゼウスやセァラはアデル…いや、フィンをお願いする……そうサッチ達に言った。
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サッチ「……」
フィン「おやじ…、」
白ひげ「グラララ、帰ったかフィン」
フィン「…おれ、まだここに居ていい…?」
ーーふわ…っ、
フィン「!」
頭にあるは久しぶりの温もり…、
それに表情や目が揺れるフィン。
白ひげ「当たり前ェだ。
お前がそう望む限り、ずっとこの船に居てくれて構わねェ」
フィン「…うん…、うん…っ!!」ギュッ
綺麗な服も、
王子という称号も、
そんなのいらない…。
ただ、救いの手を差し伸べてくれた人たちの所に…その温かい居場所にいたい。
離れたくない。
ここ以外の居場所なんて嫌だ…。
もう、その光を手放したくないんだ。
フィン「おれ、みんなが好き!
だから!!ずっとここに居る!!!」
Finー