めいん

□お互い様
1ページ/1ページ





「こにゃにゃちわ」


「あ?」


「こーにゃにゃーちわ」


「・・・なんだよ」


「ちょっと暇なら手貸してくれない?」


「あ゛?」


「ぁあ゛?」


「・・・・」





なんだコイツ。いっつも変なヤツだが今日はいつも以上に変だ。どうせどうでもいいこと言いに来たんだろう。





「ちょびー・・っとウソップを懲らしめたいんだよねー」



案の定どうでもいい。「ルフィとすりゃあいいだろ」って言ったらなぜかはたかれた。痛ェよ。




「ばっかだなーゾロりんは!ルフィが人をだませるわけないないでしょ?」


「おい何気持ち悪ィ呼び方してんだ」


「んで、作戦なんだけど・・・」


「何勝手に話進めてんだよ」



こいつが話し出した作戦はこう。

今キッチンにいるウソップに水を出すフリして中にいろいろ混ぜた水を渡しちゃおうぜ大作戦。


・・・・・・おい!



「なんだよそのバカでも思いつきそうな単純すぎる発想は」


「ばかの頭ではここまでが限界だったようです」


「つかそれなら1人でできるだろ。俺いらねェじゃねェか」


「ブッブー!ゾロちんがいるのといないのじゃ私の心持ちが大いに違うの!」



口を3の口にして言われても腹立つだけってことをこいつはわかっていないようだ。


ほらさっさと行くよ!と言って無理やり引っ張られて台所へ向かう。

俺の意思を聞く気は皆無なわけだ。




「お、ゾロ!・・・と鬼」


「誰が鬼よ!!」




ウソップに回し蹴りを入れる***。あいつ本当に女か。



「ったくウソップのやろー…まじアイツ許さん」



コップに水と氷を入れながらつぶやく***。



「何があったんだ?」


「・・・ウソップが床に何か仕掛けしててズッコケタ」


「・・・そんだけかよ」


「違うの!・・・それに引っかかるの3回目だから」



っぶ!・・・ばかだろコイツ。笑ったらまたキレられそうだから心の中で盛大に笑っておく。わっはっは!(だれ)



「うーし・・・んぢゃあこの佐藤さんを混ぜましょ〜」


「おい、その砂糖さん粉でいいのか?液状もあんぞ」


「あ!・・・あーあーあー早く言ってよ緑ちゃんよお」


「誰が緑ちゃんだ」



「ちょ、耳元でしゃべんないで、ツバが散るでしょ。私意外と潔癖症なの」


「・・・・」




うぜェエェェエエ!!!!



「まあ、次に液状佐藤さんいれるか!」とか言いつつ粉状の砂糖を水に混ぜるこのバカ女をはったおしたい。つか佐藤さんだと人じゃねェか。



「・・・よし、準備は万端よ!いざ出陣じゃあ!・・・ゾロ!」


「俺かよ!!」


「私が行ったら企みがばれるかもしんないじゃん。だからレッツゴー!」



ッチ。

内心舌打ちしつつ椅子に座るウソップへこの砂糖が氷の上にいくらかのって溶かし切れていない、ご親切にストローまで挿してある水を運ぶ。

氷を後で入れればよかったんじゃねェのか。



「おいウソップ」


「ん?なんだゾロか。何か用か九日十日」



こっちもこっちで面倒臭い。



「何が南京遠ナスカボチャ」と続いてしゃべることをやめそうにないので強制的に終わらそう。

と、いうことで・・・



バシッ!



「いっでェ!何すんだゾロ!ケツ砕けるわ!」


「いや、その話が終わりそうになかったから止めたまでだ」


「どこの世界に回し蹴りで話終わらすアホがいんだ!」


「・・・・」



キツイ視線を感じ振り返るとスゴイ睨みをきかせる***。

早くしろってか。



「ウソップ。ほらよ」


「ん?・・・おいおいなんだよコレ、お前が俺に水を差しだすなんておかしいだろ」


「いやおかしくねーだろ」


「いやおかしーだろどう考えても!まさか日頃の恨みを込めて毒でも盛ってんじゃねェのか?え?」



あながち間違いではない。



「とりあえず、飲め」


「ちょ、おま、やめ・・・フゴッ!!」



一向に飲もうとしないことにいらつき無理矢理コップを持ってストローをウソップの顔に近づけたら、鼻に刺さった。悪い。



「ちょ、分かったよ飲むよ!だから頼むからやめてくれ!」



俺からコップを奪い取って飲むウソップ。



「・・・・・」


「・・・どうした?」


一口二口飲むと真顔で固まったウソップ。


「お前これ・・・何か入れただろ?」


「いやいれてねェよ」


「いやいや入れてんだろ?飲んだらわかるぞコレ。なんか甘ェもん」


「ああ・・・ちょっと愛情入れすぎた」


「ぶふっ!愛情って!・・・・悪い。全力で謝るからその刀しまってくれ」




とりあえず土下座してきたから笑った事は許してやる。



「しかもなんか粉っぽいもんのってんだけど」


「・・・ったくそのくらい我慢しろよな。たぶんほこりだ、取り替えてきてやるよ」


「いい!もういい!それお前がお前が思っている以上にまずい!」




コップをもってキッチンに戻ると悔しそうな***の姿。



「ッチ、毒が足りなかったか」


毒って砂糖さんのことだよな。ほんとに毒入れたんじゃないよなコイツ。



「よーし、次はこのレモンのやつ入れてみよ〜」


「・・・・」



なんだコイツ。語尾に「♪」が付きそうな勢い。

・・・・

おれの頭にある考えが浮かんだ。




「お前ウソップが好きなのか」


「・・・・・」



・・・反応なし。



「おい***、なんとか言っ・・・」



顔をのぞきこむと耳まで真っ赤な***。


・・・まぢかよ。



「そーいうことかよ。・・・まぁ・・・がんばれ」


「・・・・うっせェエエ―――!!!!」



バシッ!!



「痛ェよ!!!」



確信をついたら照れ隠しの回し蹴りを入れられた。












好きな子にはちょっかい出したくなるもんだ。


お互い様。




2011.8.21

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ