創作 参
□それはきっと罰
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“愛してる”
その一言が言い出せず、やがて移ろう景色は数年の時を経た。
“リクオ様・・・”
躊躇いがちに袖を引いた、震える指先。
“リクオ様・・・?”
望むことさえ忘失した、真っ直ぐな瞳。
“―――、”
言葉も紡げぬまま、ただひたすらに引き結ばれていた唇。
記憶を巡らせればどれも久しいとすら感じられない時の流れに、リクオの口腔からは微かな吐息すら漏れ出なかった。
“・・・お慕い、しております”
後悔を、すればいつか触れられるのなら、何度だって懇願しよう。
会いたいと。
側にいてほしいと。
愛していると、伝えられるのなら何度だって言葉にしよう。
今はもう、意味のない愚考でしかない想念を、足掻くことすらできないこの場所で、せめてもの償いとして―――否、己に巣くう悲愁として、消さずにいようとただ願う―――。
「つらら・・・」
「・・・好きよ、 」
了