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□原点にして、頂点
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「勝…った?」


最後の一体同士。
僕は相棒のバクフーンで、レッドさんは相棒のピカチュウで戦った。

最後の一撃、ピカチュウは倒れて、僕のバクフーンは何とか立ち続けていてくれた。


「勝っ、た!」


もう一度、今度はさっきよりもはっきりと声に出す。
本当にぎりぎりだったけれど、勝つことができた!
嬉しい、すごく嬉しい!
バクフーンが僕の元へと走り寄ってくる。
どーん、と勝利のたいあたりを僕にぶつけてくれた。

「バクフーン!ありがとう、ありがとうありがとうっ!」


約束、守れた。
あの人との約束。
僕がレッドさんに勝って、そしてレッドさんと一緒にあの人の所へ帰るんだ!


「レッドさん、ずっとずっとあなたを待っている人がいるんです。だから、僕と一緒にシロガネ山を下山してください!」

「………………」



無言のまま、彼は僕を見る。バトルが始まる時も、何も言わなかったレッドさん。
本当に無口な人だ。
本当に無口で、
…………あ、れ?

僕、レッドさんの声を聞いた?
彼がポケモンを出すとき、攻撃を指示する時、声を聞いた?


「レ、レッドさん、皆心配しています。グリーンさんも、レッドさんのお母さんも、あの人も。だから、僕と一緒に下山して下さい!」

「…カノン」

「、え」


ただひたすらに静かなこの場所は、レッドさんの小さな声を必要以上に響かせた。
そして何より、『カノン』と言った時のレッドさんの表情があまりに穏やかで、僕はドキリとしたのだった。


「あいつの名前、カノンっていうんだ」
「カノン…さん、」



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