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□第三者のお姉さん
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「あっ、姉ちゃんこんなとこにいたのかよ!今日はBAR HOMRAに来るっつったのに来ねえから心配したじゃねーか!」
「えへへ〜。ちょっとお友達と会って、一緒にお昼ご飯食べてたんだ。今から行っても大丈夫かな?皆にケーキのお土産も買ったんだけど」
ケーキ屋から出たところで、弟に発見された。対して身長が変わらない弟の頭を撫でれば、恥ずかしそうに顔を歪めはするけれどもその手を拒みはしない。
「…アンナが喜ぶと思う。姉ちゃんのことずっと待ってたし」
「じゃあはやく行かなきゃね」
にっこり笑って歩きはじめる姉に、八田は慌ててスケボーを滑らせる。
「そうそう美咲」
「なに?」
「お姉ちゃんね、美咲がどんな人を恋人として連れてきても怒らないからね。いつでもお姉ちゃんのところに連れてきてもいいからね」
「はっ!?」
いきなり姉から投下された爆弾発言。八田は顔を真っ赤に染め上げ、あうあうと呻き始めた。姉の言葉の真意が掴めず、かといってどう返事をすればいいのかも分からない。結局、「なんだよそれ…」と蚊の鳴くような声を絞り出すのがやっとであった。
「ふふ、美咲はすっごく愛されてるなあってことだよ」
しかし、返されたのは返答になっていない返答。八田は首を捻り、上機嫌な姉の横顔を眺めるのであった。
第三者のお姉さん
20131123