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□サンタクロースを待っている
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「メリークリスマス」
「…え、」


真っ白なシーツの上に散らばる数々の色鮮やかなお菓子。お菓子だけじゃなく、小さくて可愛らしい造花もその中に紛れていた。


「え、えぇっ!?鉄平くん!?どうしたんですか、コレ!」
「メリークリスマス!」
「2回目!?」
「今日はクリスマスだからな。俺からのプレゼントだ」


そう言って鉄平くんは、いつもの優しい笑顔でニコリと笑った。





私と鉄平くんが出会ったのは、今私がいるこの病院である。彼も私もケガのため入院しており、病室は違ったがリハビリ室での出会いをきっかけに仲良くなった。1つ年上の鉄平くんは、まさに頼れるお兄ちゃん。


「嬉しい…!ありがとう、鉄平くん!」
「ん、いい笑顔」


くしゃり、と頭を撫でてくれるこの瞬間が大好きだ。


「怪我の調子はどうだ?」
「順調だよ。鉄平くんも、怪我、再発してない?」

「平気平気。試合も出てるし」
「ホント?無理は駄目だよ」
「ああ。そっちも、早く治せよ」


私はケガをした肘を撫でて苦笑した。私も、あと少しで退院。ケガの方も何の異常もなく、普通に生活できるとのことだ。


「ケガが治ったら、鉄平くんの試合を見に行きたいなぁ」
「俺も、見に来て欲しいな。じゃあ俺へのクリスマスプレゼントは試合を見に来てくれることな?」

「そんなのでいいの?」
「充分。待ってるから頑張れよ、サンタさん」







サンタクロースを待っている





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