short

□ひそひそこそこそくすくす、話をするのは、
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(BL表現注意。傍観夢主)




「やあやあやあやあ、鉢屋三郎。なんだか君を久しぶりに見た気がしたよ。元気かい?おや、どうしたその顔は。また無理に仮面を被っているのかい」
「…何だ、花音か。私のところへ何しに来たんだ」


1人静かに本を読んでいたのは鉢屋三郎であった。
不破雷蔵ではなく、鉢屋三郎。
彼が静かに読書をしている中、突然やってきたのはくの一教室の柊花音だった。
まあちょっとした変わり者だが、忍たまの五年生と仲良しの少女である。

そんな彼女は三郎の顔を見た後、かくんと首を傾げた。
きょろりと辺りを見て、そして今度は何を思ったのか三郎の頭をよしよしと撫でてやったのだ。
びくり、と三郎の肩が上がるが彼女は気にもしない。
そしてそのままするりと三郎の隣へ座った。


「かわいそうに、かわいそうにねぇ、三郎」
「…何がだ」
「ふはっ、別に私の前でまで仮面なんぞ被らなくてもいい。ねえ、三郎。私もお前とおんなじさ。寂しい寂しい、憎いより寂しい。私はね、お前らが大好きなんだ。一緒にいるお前らが大好きなんだ。お前達を見るのは、そう、娯楽の1つでもあったのだよ。それがどうした、あの雌が調子にのりやがって。………おっとっと、汚い言葉は乙女にはご法度だ」
「どこが乙女だ。その喋り口調を何とかしてからそういうことは言え」


言葉とは裏腹に、縋るようにこてりと自分より少しだけ低い花音の肩へと頭を預ける三郎。
花音は少しばかり驚いたような顔をしたが、すぐに優しく微笑んだ。


「三郎三郎、私は今すぐにでも掃除がしたい。気持ちよくなりたいんだ」
「いいねぇ、花音。もちろん私も誘ってくれるのだろう?」


自然と2人の口元には薄い笑み。
あの美しい人を二度と見なくてすむように、そう考えれば笑がこみ上げるのは仕方のないこと!




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