南国パプワ夢
□夏のお守り(〜春夏秋冬〜)
1ページ/6ページ
あれは春の出来事だった!
夕方になると、必ず私のお店の前を通る人が居る。
その人はすごく素敵な人できっと私は一瞬で一目惚れしてしまったのだろう。
ケーキ屋さんで働いている私は入り口のガラス越しにあの人を見つめる事しか出来ない…
(素敵な人だなぁ…名前何て言うのかな…)
髪は片目を隠す感じで全体的にちょい長め。
スラリとした足腰にスーツに身をまとった一際目立つあの人。
夕方になると私はそわそわしながらあの人が通るのを楽しみにする事が多くなった。
通るなんてそんな何秒も掛からないのに、一瞬でも幸せな気分になってしまう・・・・
ただ見ているだけでも十分。
だってそんな勇気ないもの……
それから夏が来て私はお店の前でホースで水まきをしていた。
「ふぅ…今日も暑かったなぁ…」
「名無しさんさん、そろそろ中手伝って貰える?」
「あ、はい!すぐ行きます」
お店のオーナーから声を掛けられた途端スルリと滑りホースが手から抜け出してしまった。
「わっ!」
その時憧れのあの人がまさかに通りかかり、水圧で暴れ出したホースの水を被ってしまった。