17号夢短編
□涙のバレンタイン(前編)
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ー涙のバレンタインー
「17号!17号!」
俺を見るやいなや名無しさんは息を切らして走ってきた。
「どうした」
「はぁはぁ…はぁはぁ…はぁ……」
「大丈夫か?」
「はぁ…う、うん…ごめんね…何だか息切らしすぎたみたい……ふぅ」
名無しさんは大きく深呼吸すると俺に何やらラッピングされたものを手渡してきた。
「はい!今日はね、バレンタインなんだよ?17号にあげたくて作ってきたの」
「…バレンタイン……俺にくれるのか」
「勿論だよっ!大好きな17号にあげたいの」
照れながら、名無しさんは俺の手をひっぱり、二人で公園のベンチに座った。
「17号、良かったら空けてみて」
「……まさかカエルとか出てくる仕掛けじゃないだろうな?」
「そんな事するわけ無いでしょ!!」
名無しさんの言う通り、仕掛けなんてあるハズもなく、箱からは美味しいそうなガトーショコラのケーキが入っていた。
「すごいな、本当に貰っていいのか?」
「勿論だよ//17号に食べて欲しくて……!あ、良かったら一緒に写メ撮りたいんだけど!私ケーキ持つから17号がここ押してくれるかな?」
とまぁ、ここは普通に撮って、その後コイツが作ってくれたお菓子を食べるハズだったんだ。
だけど…
「撮ったぞ」
「わぁありがとう//嬉しいっ…!……??あ、……ああああああああっ!!!!!!!!!」
名無しさんの手からケーキは滑り落ち地面にペシャんと落ちてしまった。
「……あ……せっかく作ったのに…17号の為に……」
名無しさんは子供のように目をうるうるさせて今にも大粒の涙がこぼれそうだった。
そんな時、クラスメートの数人の女子が17号に向かって走ってきた。
「17号さんここに居たんだ!!良かったらチョコ貰って下さい//」
「ダメ、私のが先だよ!」
「ちょ…押さないでよ!」
「これ私が編んだマフラーです!!貰って下さい」
「友達が恥ずかしくて渡せないからって代理で私来たんだけど、貰ってあげて!」
てんわやんわと女子達が押し合い17号の元へと走り寄ってきた。