17号夢短編

□〜瞳を閉じて〜後編
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―死ぬな―





―死にたいなんて言うな―




―殺してくれなんて言うな―








どうしたら伝えられる………
この女に。


………


俺には女の暗く重い気持ちなんてはかりしれない。
何も出来ない。


ただできるのはここからもう俺達が立ち去る事だけだ。



諦めて死を望んでる人間なんて何人も殺ってきた。

でもこの女だけは殺せない…………むしろ生きて欲しい……







!!!






俺は女の手を引きよせ優しく抱き寄せた。



女は最初びっくりしていたが俺の背中に手を回して泣いていた。



辛かったな・・・・・・・・・



優しく女の髪を撫でるとおでこに軽くキスをした。


この気持ちがなんなのかやっと、やっとわかった……





「お前が好きだ」



女は俺の唇を確かめるかのように触ってきた。



今度は唇に……


やわらかい…



お前の思いも気持ちも全て俺に流れてくるようだった。全身が熱くなる



俺はお前を守れないだろうか

俺はお前を支えられないだろうか・・・・・



俺が人間の女にこんな気持ちを抱いたのは初めてだった。






―なぁ…名前を教えてくれないか?―



―名無しさん―


「名無しさん………」


俺が声に出して名前を読んだのが分かったのだろう女は少し照れたようにうつむく。

そんな名無しさんの顔に手を添えてまたキスをした。




言葉が無くても通じ合えた。この暖かい手と唇で

俺にはお前に生きる力を与えられただろうか・・・・・

このキスがその証明だと信じてもいいのか?





もう何回キスを交わしただろう、何回も何百回しても、したりない。

だっていつ俺達が離れてもおかしくないから……







だけどそんな幸せ続かないんだ。
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