17号夢短編

□瞳を閉じて〜前編
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「ねぇ17号、明日からはこの町を破壊するんでしょう?こんな町ぶっ壊すのに1日なんてかからないんじゃない?」



「そうだな、別に明日じゃなくても今からでも壊したっていいんだぜ?」


「やだよ!雨のせいでせっかくの洋服が濡れちゃうじゃない!明日からにしよ!」



「仕方ない…楽しみはとっておいた方がいいもんな」








俺達は今、いくつもの町を破壊し、また新たな町を壊そうとしている。人造人間として18号と町や人を壊すなんて何とも思わない……………
今の俺達にはそれしか無いと思ってた。
お前に会うまで……







〜瞳を閉じて〜







その後18号は俺と別行動をとった。

明け方からザァザァ降りの雨は止むこともなく明日破壊される町を濡らしていく。

一人工事中のビルの上に座っていた俺は見下ろすように町中を歩く人間を見つめていた。

人間共が無数に行き来する町中、駆け足で歩道を走る女に目が止まった。どこへ行くのか俺には全く気にも止めなかったがどうしてか女が走るのを自然に目が追ってしまった。
女はしばらくすると水溜まりに車が走行した時にはねた泥水を浴びてしまった。


「ふっ……」間抜けな姿に俺は思わず笑ってしまった。

そして尚且つ走り今度は滑って転び、持っていた鞄の物も水溜まりに散乱してしまった。

もちろんその女自信も……


泥水にまみれその場に立ち尽くして居る女。

最初は面白半分で見ていたがここまで来ると少し面白ろおかしく同情してしまった。
女は起き上がると濡れてしまったスカ―トを絞って散乱したバックの中身を片付けていた。


顔を拭くハンカチすら濡れてしまったんだろうか、女は着て来ていた洋服の袖で顔にはねた泥を拭っていた。
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