嗚呼、

□終わりのようです
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たったいま、あたしの恋が終わった。
大好きだった金久保先輩に振られたあたしは、何故かふっきれた。ほんと、なんでだろう。金久保先輩は申し訳なさそうにこっそりと月子ちゃんが好きなんだと言ってくれた。

しょうがない。だって、月子ちゃんは可愛くていい子だもん。友達のあたしが惚れるくらい可愛くて、時々抜けてて…。だから、金久保先輩がそう言った時、何故かわかってた気がした。だから、悔しくなんてないのかもしれない。だから、ふっきれたのかもしれない。とっさに「…応援してます!」って言えたことが、不幸中の幸いなのかもしれない。

先輩が弓道部を卒業する今だからこそ、伝えたかったわたしの想い。見事に散った想い。でも先輩はもう部長として必ず部活に顔を出すことはない。イコール、気まずくならない。それだけが救いのように感じた。とりあえず、今まで応援してくれた人達にお礼を言おう。ちゃんと振られたって言わなきゃ。でも、辛くないよ、悲しくないよって言わなきゃ。だって、あたしは…



嗚呼、

終わりのようです




「宙ちゃん…」

月子ちゃんの泣きそうな声に思わず胸がきゅん、とした。ああ、可愛い。なんてこのムードじゃいえないけど、一番応援してくれたもんね、月子ちゃん。もう大丈夫なのに、辛くないのに、悲しくないのに、こうして傍にいてくれる月子ちゃんは、本当にいい子だと思う。というかいい子。

七海くんとか、土萌くんとか、東月くんとか…みんなもなぜか心配してくれて。いやあ、いい友達を持ったなあたし、なんてぼんやり思ってた。

でも、確かにあたしの胸は悲鳴をあげていた。心臓麻痺かな。今ここで発動されちゃ困るんだけど。とゆるく考えてみても、痛みは止まらない。これが切なさなのかもしれない。あれ?ふっきれたはずじゃないか。

みんなが余計に心配するから、ふっきれたはずがふっきれなくなってしまったのかも。みんな心配性。おかげであたしの心は感動の嵐で胸が切ないよ、痛いよ。もうほんとに大丈夫だから。頼むから、泣かせないでくれ!

「いや、ほんとほんとまじで大丈夫!なんかふっきれたし、金久保先輩はいい初恋の人だったって思い出になるじゃん!」

「…でも…」

「…なんか、納得出来なくて、」

「あの人、宙のこと好きそうだったのに…」と不満そうに声をもらす土萌くんに思わず目を見開く。まさか、この鈍感なあたしが月子ちゃんのことが好きかもしれないと気付いていたのに、なんて子だ。そんなこと、地球がひっくりかえってもないのに。あ、地球はひっくりかえってもなんともないのか。

「はいはい、このお話はおしまい!ほんとにありがとね!最後はあれな結果だったけど、あたしは幸せだよ!みんなにこんな心配して貰えて、励まして貰えて、応援して貰えて!不満なんて何一つないし、辛いとも、悲しいとも思わない!ね、あたしは大丈夫だから!そんな泣きそうな顔しないで。」

元気な声を出せば、泣きそうな顔から笑顔になる月子ちゃん、照れ臭そうに笑う三人。「これじゃあどっちが励ましたかわかんないね。」と東月くん。全く、その通りだよ!と笑って返してみる。



さて、一つの恋が終わりのようです。



(もしこれが仕組まれていたとしたら…?)

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