novel

□秋日和
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何だか温かい。
体もこの部屋も。

そう感じてゆっくり体を起こすと、夕日が部屋を照らしていた。



ちょっとだけ、なんて言って、二人で毛布に飛び込んで。
そのうちに寝てしまったのだ。


隣で眠る彼女も夕日に照らされている。



「すごく綺麗です…」



「んー…」

「わ…!え…っと」

「え…?」

「…あ、れ?」

「…ちょっと嫌だ、今何時よ?」


慌てふためいている俺を不思議そうに見上げてきたが、聞こえてはいなかったようだ。



「完璧に寝ちゃってたわね…」

「ええ、僕もさっき起きました」

「気持ち良過ぎるのよ」

「佐藤さん…?」


「…高木毛布があったから、尚更ね」

再び横になり、俺を引き寄せたかと思うとそんなことを言うものだから、心臓が大きく音を立て始めてしまった。


「…そ、そうです…」

「何よ、そんな返事されたら恥ずかしいじゃない…」

「いや、その…」

「その、何…?」

「ドキドキしちゃいました」


「…いきなり真顔で言わないでよ…。大体、高木君の方なんだから。毛布宣言をしたのは…」


照れて文句を言いつつも、俺の袖を掴んでいる彼女が可愛いくて堪らない。



「暖かいわね」

「ええ、部屋中。」

「この太陽が毛布を温めていたのよね」

「今は夕日になりましたね」







夏の燃える様な太陽も良いが、優しく包んでくれる様な秋の太陽も良い。



「そんな太陽みたいになります」

「え?」




そんな太陽みたいな毛布に。


俺が包むのは、大切な貴女ですから。
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