もぐもぐ

□だいきらいな、君へ
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学パロ猿美以外モブR15














「お前、俺のこと嫌いだよな」


笑いながら横に座ってくる。


「うん」


嫌いだから隣に座るな。

近寄るな。


「つまんねーな、お前」
「楽しくするつもりないし」


こいつは八田美咲。



あれだ。
クラスのモテる男子とか
人気者グループに入ってるうるさいの。


で、俺はつるむのが苦手なタイプなのに
こいつはやたらと絡んでくる。


「八田ー!...なに、また伏見といるの?」
「ん、なんか用か?」
「昼飯」
「伏見と食うから」
「え」
「独りぼっちの可哀想なこいつと食ってやるんだよ〜」
「流石美咲ちゃん!」
「余計な御世話」
「いってぇ!伏見てめえ!」


余計な御世話。本当に。


「伏見、飯食うぞ」


なんだその笑顔は。


「......お前、パンだけ?」
「え?うん。パンだ!」
「だから小せえんだよ」


自分の弁当に入っていた唐揚げを口に突っ込む。


「んがっ!?......うまい」
「それは良かった」


弁当の蓋におかずとサラダを乗せて押し付ける。


「は?いや、いいって!」
「いい。見てるこっちが哀れ」
「やめろって!」


無理矢理食わそうとすると女子が話し掛けてきた。


「伏見っ」
「....なに」


呼び捨てすんな。


「八田と仲良いの?」
「んな訳ないだろ」
「えー?うそぉ」


気持ち悪いな。

気が付くとあいつの仲間がわらわら集まってきた。


「美咲ちゃーん!」
「やめろって...」
「あれ、八田テンション低い」
「どったの八田っち」
「うるせえよ」


一人の男が蓋に乗ってるおかずを見る。


「なにこれ!愛妻弁当!?」
「いやいや美咲ちゃん彼女いないし!」
「あ、それ伏見がくれた」
「え!?」


クラスの視線が俺に集まる。


鬱陶しいな。


「やっぱ美咲ちゃんは彼氏か....」
「なるほどな!」
「納得すんな!ぶっ殺すぞ!」
「八田っち過激ー!」
「な、伏見!美咲ちゃんどう思う?」
「うるさい」


お前が。


あいつもさすがに弄られ過ぎてうんざりしてた。


「八田」


凛とした声が教室に響き、教室のドアを見ると一人の青年。


「わ、先輩!ちっす」
「今日の放課後、暇?」
「暇っすよ」
「じゃあ付き合ってくれないかな?」
「...いいっすよ」
「じゃあ、放課後」


たしか3年のテニス部のエース。
かなりの美形で誰からも好かれてる。


「八田デート?」
「ホモネタはもう勘弁しろ」
「美咲ちゃんはイケメンをも虜に....!」
「アホ」
「八田っちつめたーい」


そんな下らない話を呆れた目で眺める。


「......伏見」
「ん?」
「俺、あの先輩苦手だわ」
「.....なんで俺に言うんだよ」
「お前にしか言えねーんだよ!」


ひっぱたかれた。痛い。


「じゃあ行くなよ」
「八田と伏見がイチャイチャしてる」
「してねえよ!」



授業が終わり、帰る。



今日は中庭の水やり当番を押し付けられたので
さっさと終わらせて帰るつもりだった。


あーだるい。



「先輩っ....!」
「美咲、美咲....!」



丁度花壇がある場所から聞こえる声。

不本意ながら覗いてみると固まってしまった。



「せん、ぱ......やめ.....っ」
「美咲、好き。好き」


さっきの先輩に押し倒されてやられそうなあいつがいた。


うん?



あいつはホモなのか?


「やめっも、はなせ....!」
「可愛い。好き。愛してる」


止めにいこうか悩む。


下手に踏み込んで騒ぎになったら?厄介だ。


「はなせ、やだ....せんぱい....!」
「ああもう、可愛いな。はやくいれてやりたいよ」
「ひっ!?や、やだ!やめてください!」


そう言って服を脱がし始める。


「野外は初めてだな...美咲、嬉しいよ」
「嬉しくねぇ、はなせっ」
「その顔好きだけど可愛い顔も見たいな」
「........っ!」




関わっちゃ駄目だ。



わかってたんだけど



「美咲、悪い遅れた」



お前の笑顔離れなくて。




「ふし、み」
「すいません、俺の彼氏が迷惑掛けました」
「は?美咲?どういう...」
「だから、彼氏ですよ」
「ふしみ、ちょっと...!」
「美咲の彼氏は俺でしょ?なにそれしらないよ?」
「先輩は俺に勝てませんよ。な?美咲」
「........お、おう」
「じゃ、失礼します」



そう言って学校から出た。



「伏見、わりい」
「なにが」
「巻き込んだ」
「どうでもいい」
「そっか」
「........初めてに見えなかったけど」
「ん、よくわかったな」
「当たりかよ」
「だから...っ...くそ...!」
「泣くな」




子供みたいに泣くから。



頭を撫でた。





「あいつ、もっ死ねばいいのに....!」
「ばか」
「......なんで助けた」
「お前が笑ってなかったから」
「.........!?」



なぜ赤くなる。



「ななななな?」
「うるさい」



なんか危ないので距離を置く。



「....伏見、ありがとな」
「笑った」
「なんだよ」
「いや」
「相変わらず俺のこと嫌いだな」
「そうでもねえよ」
「は?」



真っ直ぐに顔を見る。











「大嫌いだな」












初めて、笑ったな。




「ぶはっ!ひでー!」



明日からは弁当作ってやるよ、美咲。





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眠すぎてワケわからんものを。


猿美じゃなくてもできる話だよね...(しろめ)





20121127

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