もぐもぐ

□すきじゃない
1ページ/1ページ

鎌美














「八田さんっ」


振り向くといつもこいつがいる。

絶対に離れないで付いてくる。


「なんだ?」
「今日はもう戻りましょ?」
「いやだ」



こいつだけが、昔から。



「鎌本」
「なんすかー?」
「でぶ」
「ちょ、なんなんすか!」
「なんでもねえよー」



なあ、鎌本。



お前はどこにも行かないか?



俺のそばにいてくれんのか?



「......なんてな」
「なんすかさっきから」
「うっせ。帰るぞ」
「うっす」


振り向いて笑う


「鎌本!」
「はい?」
「俺、お前好きだぞ!」
「はっ....ええ!?」


でも恋愛では好きになれない。


愛しいものは失いたくないから。


「信じたか?」
「いや、ビビりました」
「つまんねーなー」



満更でもなさそうな顔に申し訳なくなる。



だって俺がお前を好きにならなければ
きっと消えないから。



「八田さん」


やめろ


「なんだよ」


言うな


「俺はそばに、いますから」







ああ、こいつはわかってる。


俺の心を。



「俺も好きですよ」






前を向いてゆっくり歩く。





「馬鹿言ってんじゃねーよ」



久し振りに泣きたくなった。




---------------------


幼馴染みのつらいとこですよね




20121123

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ