もぐもぐ

□哀する君へ
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「てめえを...ぶっ殺す」



違う、そんなこと言いたかった訳じゃなくて。










それはいきなりのことだった。


いつも隣にいるやつがいなくなって
何処にいるかと聞いたらセプター4とか言って。


なんだよそれ。




理由は?


俺何も知らねえよ?


青の王に仕えるってなんだ?


理由....あるんだよな?





伊佐那社を追ってる時に目の前に現れたあいつは青いセプター4の服を着ていた。


息が止まった。


「猿...?」


本能でわかる前と違うお前。


「そんな顔してどうしたんだ?美咲ぃ」


あおい、つめたい、さるひこのめ。


青い炎が猿比古の肌の不健康さを目立たせる。



「なにしてんだよ!なんでっ」
「なにが」
「なんで吠舞羅を抜けた!」


なんで俺を、仲間を裏切った?


「美咲を見てるとストレスになるから」


は...?

ストレス?


どう反応したらいいのか戸惑う。


「なんだ、それ」
「すげえ苛々して殺したくなるんだよ」
「ころ、す?」
「そう。...伏見、緊急抜刀」

ああ、そっか。

こいつ、俺のこと嫌いなんだ。


途端に体内の熱がなくなり冷静になる。



「簡単にやられっかよ!」
「本気で来いよ...美咲ぃ...」
「っ名前呼ぶんじゃねえ!手抜きなんかしてやらねぇよ!」


スケボーを投げつけ金属バットで殴り付けるが巧くかわされ
バットを握る右手首を掴まれ押さえ付けられる。


「この程度か?美咲」
「っの野郎!ぶっ殺す...!」


足でスケボーを蹴りあげようとしたら先に猿比古の蹴りが鳩尾に入りコンクリートの冷たい壁に背中を打ち付ける。


「がはっ...!くそっ...てめえ....!」


若干掠れた視界で猿比古を見ると近寄ってくる。


表情は...わからない。


「美咲」
「あ?わ、ちょ....!?」


抱き上げやがった...!


「離せ!何しやがる!」
「美咲」
「な、んだよ」
「こっち向け」
「は?なんっ....ん....!?」

さるひこのかおがめのまえにあって
このかんしょくは、くちにあたるこれは....


猿比古の唇。


「は、なっ何すんだよ!」
「したかったから」
「意味わかんねえよ!」
「...おれが赤のクランを抜けた理由」
「は?」
「美咲が欲しいから」



俺が欲しい?



「ついに頭がおかしくなったのか」
「おかしく...ね。まあ、そうだな」


そんな理由で吠舞羅を抜けたのかこいつ。


「最低のくずが...!」
「最低は美咲だろ」
「は?」
「尊さん、尊さんうるさい」


いま、尊さんを侮辱したな....?


「てめえ...ぶっ殺す...!」


なんで、俺を置いていった?



脇腹に刺さる剣の冷たい感覚。
致命傷ではないが、どうやら刺されたみたいだ。



「あんまり相手してやれねえ、ごめんな」
「...っ....さ...る..!」
「なに」






「         」









「それは、無理だな」
「......」
「.....一人にしたいから俺が離れたんだから」







一人にすんなよ、馬鹿。






お前が何を背負っているのか
餓鬼の俺にはわからない。






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朝っぱらから重いなあ....


初、美咲ちゃん視点です。


無意識に伏見にすがり付く美咲ちゃんも
可愛いと思う。






20121109

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