もぐもぐ
□俺は置いていくけど、
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多分、驚いただろ。
驚いてから頭に血が昇ってキレる。それが美咲。
俺を追ってくるのは美咲だけだと思う。
ほら、追いかけてきた。
─────なあ、美咲。
「お前、青の王につくって嘘だよな!?」
美咲の俺を信じて疑わないその強くて大きな瞳が好き。
「裏切るって嘘だよな!?」
美咲が発する俺の耳から脳裏に響く凛とした声が好き。
「なあ、なんとか言えよ...猿比古....!」
美咲のいろんな色にくるくる変わるその表情が好き。
「猿比古、猿比古...!」
美咲の顔も手も足も身体も思考も感情も全部好き。
でも、美咲は違うから。
俺はこんなにも好きなのに。
好きで好きでたまらないのに。
美咲がいつもするのは赤の王の話。...何がいいんだ、あんなやつ。
気付けば俺以外の奴と談笑してるし。
なんで、俺だけを見ない?
「美咲ぃ」
「猿比古...?」
「なんで抜けたかわかるか?」
「わかんねえよそんなの!なんでだよ!」
「そうか...じゃあな」
「は?意味わかんねえよ!ふざけんな!」
この声、いいな。
俺の感情や思考を支配する声だ。
「なんだよ!お前がわかんねえよ!」
「俺だってわかんねえよ」
「じゃあ、なんで...」
「俺を憎め....美咲」
憎んで憎んで嫌いになって俺を、俺だけを見ればいい。
俺の事しか考えられなくなって狂ってしまえばいい。
「さ、る?なに言ってんだよ...」
「俺はあの人を尊敬したことなんてない、寧ろ嫌いだ」
「...っ...!?」
「赤の王だからって調子に乗りすぎだろ」
さあ、薬は撒いた。
あとは美咲がキレるだけ。
「....許さねえ、あの人を侮辱すんじゃねぇよ....」
掛かった。
瞳の奥から宿る憎しみの赤い炎に背筋がぞくりとする。
ああ、これで俺だけを...
「仲間を裏切ったんだな?」
「最初から仲間じゃねえ」
「.....そうかよ、さっさどっか行け」
怒りに満ちた声色は俺のなかで歓喜の声をあげた。
みさき
美咲
好き、大好き
まだ気付かねえの?
なんで?
隣の温もりが消えてから寂しいと言う感情を知った。
久し振りに会った美咲の視線は熱などなくて、ただの殺意のある肉だった。
誰だお前。
美咲は何処?
俺は美咲を大嫌いなやつの所へ置いていった。
だけど、美咲。
お前は俺を置いていくなよ....?
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一度はやってみたい抜けるシーン!
あの、もうあかんす。
色々と(笑)
ぐちゃぐちゃのノープラン謝ります本当にすいませんでした
20121108