緋色長編

□第2話:玉依に迫る影
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「で、何をしているんですか?」

卓に見られ、拓磨と遼は目を逸らす。
卓は守護者のまとめ役であり、最も怒らせてはいけない人物だ。
そして遼が唯一苦手とする存在でもある。

「それが、実は今度また皆で鍋をしようと思って…。」
「それは良いですね。」
「ですよね!?でも、拓磨と遼がまた喧嘩し始めて…。」
「それは、こいつが…!」
「んだと!」

再び喧嘩をし始める拓磨と遼。
すると卓が目を細めて二人を見る。

「喧嘩をするのは自由ですが、そのせいで珠紀さんを困らせるのは感心しませんね。」

拓磨と遼の動きが止まった。

「たまには皆で揃うのも良いと思うんですよ。」
「そうですか。」

珠紀の言葉に卓も頷く。
ちなみに会話に一切入ってこない真弘、祐一、慎司の三人は拓磨と遼の事など完全に知らんぷりだ。
まぁ誰も卓に意見しようなどという者はいないだろうが…。

「では、鬼崎君も狗谷君も、喧嘩をしないで来てくれますね?」

何が「では」なんだろう…。
だが思っても口に出せる者は当然いない。
さすがの遼も拒否を口に出す事はなかった…。


―季封村外れ―

季封村より少し外れた場所。
そこに黒く暗い二つの影が存在した。

「ここが季封村か…。本当にこんな所に玉依姫がいるのか?」
「逆にこんな所だからこそいるのでしょう?」

その言葉に最初に言葉を発した者がこらえるように笑い出す。

「化け物はここに大人しく生きていろってわけだ。」
「とにかく、行きますよ。あまりのんびりも出来ないでしょう。」
「了解っと。」

そして、その影は一瞬でその場所から姿を消した。
一切の痕跡も残さずに…。



〜END〜

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