緋色長編

□第2話:玉依に迫る影
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紅陵学院高校の屋上。
そこには春日珠紀がいた。
彼女は守護者と共にこの世界を救った玉依姫。
しかし今は平和な日常を取り戻した一人の女の子だ。
今は昼休みの時間で守護者達と一緒に屋上でお弁当を食べていた。

「もっぺん言ってみろよ、灰色頭!」
「何度でも言ってやるよ、赤頭。」

そして例のごとく喧嘩している鬼崎拓磨と狗谷遼。
彼らは守護者の中でもとにかく仲が悪いのだ。

「もう!拓磨、遼、いい加減にしなさい!」

玉依姫である珠紀の声で二人の喧嘩は収まる。
だがこれはただ運がよかっただけ。
この二人は時に殴りあう事もあり、珠紀の声にも耳を貸さない事などしょっちゅうだ。

「全く、せっかく良い天気なのにそんな険悪な雰囲気出さないの!」
「たく、放っておきゃいいじゃねぇかよ。どうせしばらくしたらまた喧嘩するんだ。」
「そうゆうわけにはいきませんよ、真弘先輩。祐一先輩もなんとか言って下さい!」
「………。」

話を振られた祐一は目を閉じ考え込んでいる…。

「あぁ、寝てるなこりゃ。」

ように見えた。
真弘の言葉に珠紀は肩を落とした。
鴉取真弘、狐邑祐一。
この二人の先輩もまた玉依の守護者である。

「せ、先輩。元気出して下さい!」
「うぅ、ありがとう、慎司君。私の味方は慎司君だけだよ。」

珠紀を慰めようとしているのは後輩であり、やはり守護者の犬戒慎司。

「あ、そうだ。今度皆で家に来て鍋やらない?」
「別に構わないけど…、何でまた?」
「ん?まぁ、なんとなく。たまには皆で集まりたいじゃん。」

どう?と聞くと皆口々に(先ほどまで寝ていた祐一も)行くと言った。
だが、遼だけが…。

「俺は行かねーぞ。」
「え!?なんで?」
「筋肉バカの赤頭と鍋なんか囲めっかよ。」
「ちょ、遼!」
「良いんじゃねーの?灰色頭がいたら鍋が不味くなる。」
「た、拓磨まで!」

先ほどより一層険悪な雰囲気が流れる。
珠紀はどうしようか考えるが良い考えは浮かばない。
と、その時…。

「何をしているんですか?」

大人びた冷静な声。
それは珠紀もよく知っている…。

「卓さん!」
「こんにちは、珠紀さん。お食事中失礼します。」

そこにいたのは大蛇卓。
彼もまた守護者の一人であるが高校生ではない。
先生でもないのでこの学校にいるはずがないのだが…。

「卓さん、どうしてここに?」
「茶道部の方で少し用事がありまして。」

それで珠紀は納得した。
卓は拓磨と遼の方へ目を向ける。
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