長編
□儚−1−
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「やばいかな…、あと5分しかないや」
道が混雑しており、紗月は予定より時間をかけて駅前へ向かっていた。
もう少し、というところで真理の姿が見えた。
「紗月〜ぎりぎりだよ〜」
大声で名前を呼ばれ恥ずかしさから速足だったのを小走りに変え、真理の所へ向かう、その時。
キキィー!という音と身体に走る衝撃、そして周りの悲鳴を感じ瞳を閉じた。
「紗月、紗月、紗月!!嫌よ、お願いよぉ!目を開けてぇぇ」
最期に真理の悲痛な叫びが聞こえた気がした。
そうして、世界は流転する