夢小説入口∫異世界への扉∫

□第7の扉
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・・・なんかいい匂い・・・

「お腹空いた〜〜〜むにゃむにゃ・・・」

ノアが食事を並べ始めると名無しさんがこんな寝言を言いだしたので、思わず吹き出しそうになるのをおさえるノア。

ぐぅ〜〜〜きゅるるる〜〜〜〜

名無しさんのお腹が鳴る。

『ぷっ・・・あはははははははっ』

可愛らしいお腹の音にたまらず笑い出してしまうノア。
その笑い声に名無しさんは目を覚ました。

「・・・?!あっ・・・ノアさん。ごめんなさい、いつの間にか寝ちゃったみたいで。」

『いや、わしのほうこそ起こしてしまってすまない。名無しさんがあまりに可愛かったのでな。』

くすくすとノアが再び笑い出した。

「あの?・・・私何か・・・?」

『いや、何でもない。それより食事にしないか?そうとう腹が減っているようじゃ。簡単なものしかないが。』

野菜のスープのいい香りが漂う。

「あっはい、いただきます。実は私すっごくお腹空いてたんです。」

『そうじゃろう。どんどん食べてくれ。このオムルーツはわしの大好物なんじゃ。』

トロトロの卵の中にお肉のミンチがたっぷり入った料理のようだ。

「わぁ、ほんとうトロトロでめちゃくちゃ美味しいです。・・・?でも、卵食べるんですね?」

『ん?卵はわしの大好物じゃが・・・あぁ、鳥族が卵か・・・はははっ、名無しさんは、あ奴と同じような質問をするな。
鳥族と言ってもわしらは鳥ではないのでな、鳥は鳥、鳥族は鳥族なんじゃ。』

「・・・???ん〜〜〜鳥族も鳥を食べるってこと?」

『当たり前じゃ、鳥料理も好物じゃからな。まあ、そんなもんなんじゃ。あまり詳しく聞かれても困るのじゃ。わしが生まれてから、あ奴、ミネアに聞かれるまで、わしも考えたことすらなかったんじゃからな。』

「ん〜〜〜じゃあ、私も気にしません!この世界に来てから、もう本当に不思議なことばかりで、あんまり考えてると頭が爆発しちゃいそうなので。
あ、1つ確かなことがあるんです、ノアさんの料理がすっごく美味しいってことです。」


そう言って名無しさんがにっこり笑ったところで、ノアが何かを思い出した。

『そういえば、食事の用意のついでに名無しさん用に着物を用意した、まぁ、わしの子供のころの着物が残っていたから持ってきたんじゃが、後で風呂場に連れていってやるから着替えるといい。』

「ありがとうございます。」

食事を終えると風呂場に連れていくからと外に出た、外はすっかり日が落ちて暗くなっていたが、先ほど見たノアの家の明かりがポツポツと光っていた。

『あそこの少しオレンジがかった明かりが風呂場じゃよ。しっかりつかまっておれ。』

ぱんっとノアが手を打ち翼が現れると名無しさんを抱えて指さした光のほうに飛び立つ、
1分ほどで風呂場だという家に着いた。

『さて、わしは先ほどの部屋に戻る、風呂が終わったら、そこの電気を消したり、つけたりして合図をおくってくれ。すぐに迎えにいくからの。』

ノアは着替えとタオルを名無しさんに渡すとバサバサと飛び去って行った。

・・・ノアさんって本当に親切な人、綺麗で誠実で、さてお風呂いただいちゃお・・・

見た目は先ほどリビングだと教えられた家とそれほど変わらない小さな家のドアを開けると、ムワッと蒸気が出てきた。
中はタイル張りになっていて太い木を切りぬて作った浴槽がある。

「わぁ・・・!」

・・・すごい!木のいい香り!・・・でも開けてすぐお風呂ってことは、ここで脱ぐのかな?あっちゃんと蓋付のカゴもある・・・

名無しさんは戸惑いながらもノアに借りていた羽織を脱ぐと風呂場に入った。

・・・ノアさんの家ってやっぱりなんだか落ち着くな〜〜。下を見たら震え上がっちゃうだろうけど、家の中は狭くて落ちつく・・・

ゆっくり温まり、髪や身体を洗った名無しさんはノアの用意した着物に着替えた

・・・これ、ちょっと丈が短いけど、ミニ浴衣みたいで可愛い。それにさっきまで借りていたノアさんの着物もあるし・・・

草木で染めたような淡い緑色の着物に細い帯、名無しさんはウエストのあたり帯をで結ぶと、上に先ほどまで借りていた着物を上に羽織り、ノアに合図を送った。

ほどなくして、ノアがバサバサとやってきた。

『湯加減はどうじゃった?』

「とっても気持ちよかったです。着替えもありがとうございます。」

ノアは優しく微笑むと名無しさんを抱きかかえ寝室へと移動した。

寝室だという家の扉を開くと、一面ベットになっていた。

「わぁ・・・本当に寝室ですねw」

不思議そうにベットに降り、フワフワとスプリングの入った床面の感触を楽しむかのように弾んでいる名無しさん

『気に入ったかの?すまぬが、寝室は1つしかないのじゃ、それに名無しさん一人では他の部屋に移動もできんしな。わしと一緒は嫌かもしれんが一晩だけ我慢してくれるか?』

申し訳なさそうにノアは言ったが、名無しさんはポンポン弾みながら満面の笑みで答えた。

「大丈夫です。ここ、普通のベットよりずいぶん広いですし、ノアさんとだったら安心して眠れそうです。」

『そうか、では、わしも風呂に入ってくるゆえ、先に寝ていてかまわんぞ。』

そういってノアは出ていった。

・・・ノアさん優しくて、綺麗で、料理は美味しいし、ベッドはフカフカで・・・

心地よい寝心地に名無しさんは横になるとあっという間に眠ってしまった。
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