夢小説入口∫異世界への扉∫

□第3の扉
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悲しげにうつむく名無しさんに
男は話しかけはじめた

『私の名はライ、こうもり族だ。ここは私の屋敷だ
すまない・・・空からあなたが泣いているのを見つけて、気がついたら抱きかかえ連れてきてしまった・・・
襲われているように見えたのだが・・・
事情を話してくれないか。』

まだうつむいたままの名無しさんに
ゆっくり優しく名無しさんの表情を確認しながら
ライは語りかけた
名無しさんが怖がらないように
まるで、ライ自身が恐れているように

『どうか、私を怖がらないでくれ
私はこんな風貌をしているので皆から疎まれていてね・・・』

自らの羽根を指し
少し悲しげな笑顔を見せる・・・

・・・そんなことない・・・

名無しさんはぶんぶんとわざと大きく首をふった

「私、名無しさんです。全然怖くないです。ライさんの笑顔すごく優しくてあたたかくて・・・
あっ ありがとうございます。ライさんが来てくれなかったら・・・私・・・」

元気に答えたはずだったが、そこまで話して言葉に詰まってしまった

『名無しさん』

ライはありがとうとつぶやくと
名無しさんの身体をギュっと抱いた

名無しさんもライを抱きしめ返そうとしたが、やはりうまく動かせない

「ライさん私・・・」

名無しさんはライに
この世界に来てからのことを話した

『それは大変だった。名無しさんは魅力的すぎるからな・・・
とりあえず着るものを用意させる
その間に風呂に入るといい』

「ありがとうございます。」

・・・ライは本当に優しいな・・・

ライはとても温厚な性格らしく
この世界で出会ったルルやグレスのように性急な行動に出ることはない
この世界で伯爵の位を持っているが
ライ伯爵がいうにはコウモリ族の称号であって、自らには必要のないものと思っていると言う

コウモリ族の風貌、性質のため、他種族から疎まれ
ずっと一人で生活していたが、数年前出会った人間
ミネアによって
用精(ようせい)という
お手伝い人形と共に暮らしている

用精は見た目は、子供達が遊ぶ
人型のぬいぐるみで目はボタン、髪の毛は毛糸で出来ている

・・・この世界に、私意外の人間がいるんだ・・・

名無しさんはミネアという人物についてもっと詳しく聞こうとしたが
ライの表情が険しくなったので
あまり詳しくは聞かなかった
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