短編
□好きじゃないよ
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シュウに想いを寄せている女子は数多くいる。
成績優秀。冷静沈着。スポーツ万能。おまけに、非のつけ所が無いくらいの顔立ち。
いわゆる、『完璧人間』だ。
そんな完璧な彼の事を、女子が放って置く筈もなく・・・
「きゃぁぁ〜〜〜///シュウくんよ!!」
「本当だ///今日も素敵だわ///」
等々・・・、兎に角モテる。
噂では、ファンクラブなんかも出来たとか・・・
しかしその一方で、シュウに好意を持っていない、女子もいる。
そんな少女たちを、遠目から眺める影が一つ。
「・・・分かんないかも」
この少女、名をハルカと言う。
特徴的な髪型と、口癖がチャームポイントな少女。
顔立ちも、中々のものだ。
若干まだ、幼さが残っているが、間違いなく美人に分類されるだろう。
スタイル抜群。運動神経抜群。持ち前の明るく前向きな性格。
ハルカもまた、シュウ程ではないがモテる。
そしてこの少女は、シュウに好意を抱いていない、数少ない女子の中の一人でもある。
ハルカがシュウに、好意を持たない訳。
それは、彼女曰く「性格が悪い」だそうだ。
何かと厭味を言ってくる、アイツ。
最初はほかの子にも言ってるのかと思ってたんだけど、そんな所見たことが無い。
つまり、私にしか嫌味を言っていない。
だから、ハルカはシュウに好意を持たない。
なんて思いながら、長い廊下を歩いていると、友人がこちらに向かってきた。
「ハルカ〜!!」
「どうしたの?」
「アンタ今日日直でしょ?担任が運んで欲しい物があるって、呼んでたわよ」
「どうせ、私が暇だって思ったんだわ・・・」
「そーゆー事!!行ってらっしゃい」
友人に見送られながら、重い足を職員室の方へと進めた。