短編
□時には素直になるのもいい
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私は、シュウに対してだけは、どうしても素直になることが出来ない。
いつも、意地を張ってしまう・・・
単刀直入に言うと、私はシュウが好き。
厭味で、キザで、意地悪だけど・・・
何だかんだ言っても、優しく接してくれる彼も・・・
ポケモン達に対して、すごく真剣で優しい所も・・・
コンテストの時の彼の姿も・・・
全部 全部・・・
いつの間にか好きになっていた。
だから、たまには素直になってみようかな。
そうだ。彼がお決まりの薔薇をくれたらこう言ってみよう。
いつも薔薇をくれて、ありがとう
と、いつも言えなかった、この一言を・・・
とびっきりの笑顔とともに、この想いを乗せて、伝えてみよう。
たまには素直になるのも、いいかも知れない。
「はい。これ」
「どーせポケモンに。でしょう?」
「ご自由にどうぞ」
いつもの会話をしていると、ハルカが何かを思い出し、突然声を上げた。
「・・・ん?って、ああーーーーー!!これじゃぁ、いつもと同じかも!!」
「は?何を行き成り・・・」
シュウが怪訝そうにしていると、ハルカが照れくさそうに言った。
「シュウ!いつも薔薇をくれて、ありがとう!!」
「!!////」
それだけ言い終えると、ハルカは猛スピードで、何処かへ去ってしまった。
ハルカの素直な言葉と、笑顔を受けたシュウは、思わず赤面してしまっている。
肝心のハルカは、この場には、既に居ないのだが。
「・・・全く。彼女にはいつも、驚かされてばかりだ」
口元を、片手で隠しながら、必死で顔の赤みを誤魔化そうとしている。
時には素直になってみるのも、いいかもしれない
(いつも通りでいいよ・・・じゃないと、僕が持たない///)
(やっぱり、恥ずかしいから、素直になるのは、もう少し先でいいかも/////)
しかし、この二人が素直になるには、まだまだ時間が掛かりそうだ。